Holly Cole "Blame It on My Youth" | 良田 寛(ペンネーム) 新老いらくの記

良田 寛(ペンネーム) 新老いらくの記

いつのまにか「老いらくの記」という言葉が似合う、それなりの歳になってしまいました。
精一杯生きてきた事を何かに残したい、足跡を何かの形で残したいと思っています。

 世の中にはジャケ買い(ジャケット買い)なる言葉がある。CD(昔はレコードも)を買う場合、基本目的のCDがある。ところがジャケ買いはCDの内容ではなく、店先で見たCDのジャケットだけで買う。私の場合実は一度だけある。まだレコードの時代、高円寺の高架下に中古のレコード屋があった。そこでJim Hall の Conciertを買った。あの青いジャケットを見て買ったわけだ。当時はJim Hallの名前は知らなかった。ただそのレコードを擦り切れるほど聴いた。だから今はCDも購入し聴き続けている。
 さてもう一つ特殊な買い方をしたCDがある。
5~6年ほど前になる。恵比寿の駅に向かって歩いていた時、ある店先でワゴンに入ったCDがたくさん売られていた。ジャンル分けされる事もなく、雑然と並べられたCDの中の1枚を手に取り購入した。価格は200円くらいだったかと思う。レンタルCD屋の処分品のようだった。何をもってそのCDを選んだかは覚えていない。家に帰り一度は聴いたのだろうが、その後はすっかり忘れてしまった。
 埼玉から熊本に帰り、つい最近CDの棚の中にそのCDを見つけ、久々に聴いてみた。
Holly Coleの「 Blame It on My Youth」、これがなかなか良いのだ。Holy Coleはカナダの女性ジャズシンガー。ハスキーな声だが、声の質はそれほど太くない。アンニュイ、モノトーンという言葉がよく合う。曲はスタンダードの有名な曲ばかりだが、他のシンガーとは違ったHoly Cole独特の世界が広がる。
1曲目Trust in MeからHoly Coleの世界へ引き込まれる。4曲目のSmile、チャップリンの有名な曲、Holy ColeのこのSmileもとてもいい。6曲目のCallin you、どんどん盛り上がってくる。この曲はいろんな方が唄っているが、もの悲しさ、もの寂しさが際立っている。

5~6年前に偶然手に取ったCD、なぜか今になってこんなに心に響いてしまう。運命、出会い、別れ、人生・・・いろんな事を考えてしまう。