心斎橋の名店が… | 風が吹く日も、雨の日も

風が吹く日も、雨の日も

着物と子どもと「おいしいは正義」の日々。街歩きや美術館なんかも好きです。

私は食べることが大好きで、家訓として「おいしいは正義」を掲げて暮らしているのですが、経済的な余裕がそれほどないことと、家にひとり子供さんが待っていることへの気遣いがあり、外食する機会は多くありません。
それでもお馴染みのお店はいくつかあります。
回数よりも、通っている期間が長いので、なんとか覚えていてもらっているという感じです。
 
そんなお店のひとつが、昨年なくなってしまいました。
いつから通い始めたのか記憶が定かではないのですが、多分20代か30代から今まで途切れ途切れではありつつ大好きなお店として大事にしてきました。
値段は少し高めではあるけれど、きれいなお店で、丁寧なお料理で、安定感のある接客応対です。
安心できるお店でした。
大阪でイタリアンの老舗と言えばここと決まっているくらいの名店で、40年近いキャリアがありました。
最後にお邪魔したのは8月で、ランチでパスタを戴きました。
晩秋に、今年もクリスマスの特別メニューがあるんだろうな、一度伺ってみたいなと思っていて、予約しようと電話をしても全くとってもらえないのでおかしいと気づきました。
ネットで検索すると、キーワードの候補に「閉店」が出てきます。
信じられずに後日お店に行ってみると、看板も、玄関の装飾も、すでに取り払われていました。
 
フリーランスで仕事をしていて、受注が決まったり支払いがあった時に、ひとりで来て一番豪華なランチとグラスワインを戴いたカウンター。
友達と一緒に一度だけ利用した奥の大きなテーブル席。
友達と来て囲んだテーブル。
食器。
丸い天井。
アンティークな装飾。
オーナーやシェフの笑顔の接待。
忘れられないことがいっぱいです。
 
何年か前に、長く通った喫茶店が閉っているのは、マスターが病死したせいだと気づいた時は本当に悲しかった。
今回のこともとてもとても悲しいけれど、閉店前にパスタをいただけたことと、お店の方の消息を少しだけ掴むことができたことはよかったです。
情報が確かなら、私が最後に行った日から程なく閉店していたようでした。
 
通い慣れたお店に代わるものなんてそうそうすぐには見つからなくて、未だに喪失感を抱えています。
街も人もどんどん変わっていくんですね。
失くすばかりでなく、得るものを見たり、がしがしと得るための行動をしていけるように、気持ちを前向きにしていなくてはと思う今日この頃です。
 
 
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