先日友人のおうちが呉服屋さんということで、勉強がてら遊びに行かせてもらいました。
そこでいろいろ素敵な染織品を見せて戴いたのですが、「あれ?」と思ったのは結城紬でした。
見せて戴いた結城紬の反物の証紙が、うちのは違うんじゃないか?と思い、帰宅してから着物二枚と帯一本を出して証紙を写真撮影。ネットで調べると、どうも本場結城紬ではありえない・・・そう信じていた私の勘違いか、お店の売り方の問題か、流通に関連することで証紙が出にくくて違うものになっているのか・・・お世話になっているお店に騙されたとはどうも考えにくいし、着物一枚と帯一本は、京都の作家さんが直接説明して売ってもらったものだからお店の問題ではないし・・・なんて風にいろいろ考えた結果、お店に行って訊いてみることにしました。
それが一番手っ取り早くてよい方法。
で、最初の結城を売ってくれた方にお伺いしました。
すると、結城は結城でも、ユネスコの無形文化遺産、国に重要文化財として認められているものは製造過程で決まった方法を取っているものだけで、それ以外の方法で製造されたものは本場の証紙をはることは出来ない仕組みがあるとのことでした。
ただ、だからそれは結城紬ではないわけではなく、「石下紬」や「石下結城紬」と言う名前で呼ばれているのだそうです。
本場結城紬よりは安価で、本場のものに近い風合いがちゃんとあるということで、業界の方は大方がその違いを認識して流通させているのだそうです。
また、作家さんが持ってきた結城は、帯も着物も白生地の結城に染を施しているので、これは石下結城とは更に別の製法の結城紬になるそうです。
ちなみに、文化遺産(財)の指定条件はこのみっつです。
・糸つむぎ:真綿から指先で糸をつむぐ
・絣くびり:防染する柄の部分を綿糸で括る
・織 り:地機で織る
石下結城は糸の紡ぎ方や絣の作り方も違っていて、織は高機を使ったりするそうです。
また、ユネスコや国の認定がなくても、経済産業大臣や県が別に伝統工芸品と認める一定の品質や製法のものは、それを示す「伝」のシールが貼られます。
いや~深い。いろいろある。
勉強になりました。
うちにあるのはどれも実は「伝」のシールもなかったのですが、織物組合が検査して合格したシールとメーカが貼った「結城紬」の証紙がありました。
ちゃんとした織物組合が検査して通したものなら、結城紬と呼んでも差し支えはないようです。これに「本場」とつけたら偽証になりますが。
さて、今回のコーディネートです。
焦げ茶色の結城紬に、柿渋紬の着尺を使った全通の洒落袋帯を結びました。
帯〆は着物の色に合わせて焦げ茶色の平組のものにしました。
帯揚げは前のコーディネートの時に使ったのと同じものです。
半衿はこないだ手作りした木綿のもので、紅葉のイメージ。
帯〆の色が濃いので、前姿が引き締まった感じがしますね。
髪には、うさぎのトンボ玉で作った簪をさしています。
意外にささっと二重太鼓が結べたので、なんだかびっくりしました。
ただ、取り掛かりが遅かったので、散歩の時間はとれませんでした。
この帯は不思議な帯で、まず柿渋紬っていう名前が変。
柿渋って染料の名前なので、どこで作ったという地名がよく使われるのに、この紬は作られた場所がどこかわかりません。紅花紬だと有名なので米沢だとわかりますが、柿渋はあちこちで使われているので見当がつかないのです。
それから、なんで着尺を潰して帯にしたのかわからない。
これだったら、きっと可愛い着物になると思うのに、なんで着物に仕立てなかったんだろう?不思議。
最後は、柄の可愛さです。
伝統的な柄の寄せ集めなのですが、柄のつけ方や色が妙に可愛い。
伝統的な柄が、染める場所や面積、色でこんなに新しく可愛らしい感じになるのが、とっても不思議です。
実は同じ柄で黒っぽい生地の帯もあったのですが、可愛さと合わせやすさはこちらの方が優れていると思いました。
この帯の不思議さには、きっとその理由があるのだと思いますが、わからないままに帯を愛用し続けることでしょう。
着物って、奥が深い!!