昨年のセールで入手した屋久杉染めの大島の雨コートを愛用しています。
大島紬と言えばかたいきものの代表格のひとつで、先染めが一般的なものです。
この屋久杉染めの大島は、無地の大島に後から模様を染めで作っていて、一見すると大島には見えない仕上がりになっています。
袷の長着にも出来たのですが、大島は絹なのにその製造工程の為に水に比較的強く、雨コートにすることが多いと聞いており、持ってないなら雨コートにしたらと勧められてお願いしました。
雨の日に使う雨コートは、なるべく明るい色柄がいいとよく本などに書いてあります。
そんなに明るい色は選べなかったのですが、明るい水色に近い色を選びました。
写真ではほぼグレーに見えていますが、実際にはブルーグレーです。
持っている着物の本で、女優の高橋恵子さんが水色を主とした縞の雨コートを着ている写真があって、それに似てていいかなと思いました。
安物の二部式の雨コートを常用していましたが、下の部分がズレて落ちやすいという難点がありました。
今回は一部式のフルレングスなので大丈夫。
盛装した場合の塵除けにも使えます。
このように、細かい柄が染めつけられているので、ぱっと見ではこれが大島だと思う人はほとんどいません。
詳しくは聞いていなかったのですが、多分色無地に仕上げて、後で細かい絣柄を染めたのだと思います。
【追記】今日聞いてきましたが、やはり色無地を織ってから、友禅の技法で柄を染めているそうです。(2013/05/08)
屋久杉染めが案外知られていないと最近気づいたので、そのことを記事にしておこうと思いました。
屋久杉染めは切り倒して加工した屋久杉の削りカスなどを集めて煮詰めた染液で糸を染めるそうで、決して屋久杉を染料にする為に切り倒しているのではないとのことです。
それでも、やはり大量生産できるものではないので、貴重なものになると思います。
ネットで検索する限り、着物の長着で屋久杉染めは多くは見つかりません。
生産している工房もごく限られているようです。
屋久島は現在鹿児島県に組み入れられている島で、そこに自生する屋久杉は杉の中でも桁外れに樹齢が長いのが大きな特徴なのだそうです。通常は最長で500年ですが、屋久杉の場合は2000年ぐらいまで生きるのだそうです。
一時はどんどん伐採されて取引されていたそうですが、現在では天然の屋久杉の伐採は禁止されています。
切り株を削ったり、台風による倒木などが加工の材料になっています。
このコートを染めた屋久杉は、樹齢何年だったんだろうなぁなんて考えると凄いですね。
大事に使わなければ!と思います。