鬼怒川 (1980年) (新潮文庫)/有吉 佐和子
¥336
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かなり昔に一度読んだ本なのですが、確か機(はた)を織る場面があったなぁと思ってもう一度読み返したくなり、改めて買おうかと思っていたら本棚の奥から出てきました。
私が買った本ではなく、父母のどちらかのものだった筈です。
結城紬の産地である結城地方を舞台に、日露戦争後から太平洋戦争後までの期間が描かれています。
主人公は織りの名手と言われたひとりの女性です。
買おうと思っていてAmazonを調べていたら、方言が実際のものとは違うとクレームがついていましたが、そこは確かめようがないので気にしないで読みました。
夫、息子、孫が次々と黄金伝説にハマってしまい、主人公や息子の嫁などの家族が複雑な思いをしながらそれを見守り、ただひたすらに結城紬を織り続けるというお話しです。
単純に、結城紬の歴史の勉強になるなぁと思いながら読みました。
それから、当時の生活の描写がとても興味深かった点です。
とにかく貧しく、学がなく、素朴。
戦後の高度成長期で一気に生活が変わるところが鮮やかでした。
結城地方特有の事情があるので、一般的な事柄ばかりではないかもしれませんが、結城紬の里を訪ねるなら、こんな本を一冊読んでいくと面白いのではないかと思いました。
ちなみにこの本は、着物友達が興味を示して、今そちらにお邪魔しています。