こんにちは

 

 

 

これからはアバターに相談することもできるようになるみたいですね。

オンライン上でカウンセリングをする「オンライン心理支援」がこれから活気づいていくと肯定的な研究が増えています。

 

 

最新の日本パーソナリティ心理学会のジャーナルに、「オンライン上では、人間よりもアバターのほうがクライエントが話しやすい」という論文が掲載されていました1)

 

オンライン上では、「カメラでお互いの姿を映し合う“対面”」で相談をするよりも、「アバターの姿を映し出す“対面性”が低い姿」に相談したほうが、自己開示(自分のことを心開いて相手に話す)がしやすかったというのです。

 

コロナ禍でマスク習慣が身につき、話をするときに互いの顔の情報が極端に減ったことを問題視する論調もありますが、

カウンセリングのときは、むしろカウンセラーはリアルな顔をみせず、いっそアバターになってしまったほうがいいんですね。

 

おもしろい

 

この実験では、アバターが中の人を反映する具体的な動きは,眉の動き ,顔の傾き,体の傾きでした。アバターの口の動きは,パソコンに内蔵されたマイクで認識したカウンセラー役の人の声に合わせて動く設定になっていました。

 

コミュニケーション上、重要視される「視線」ですが、アバターの目線は常にクライエント役に向くように設定されていたそうです。でも「瞬き」は、人間の動きを反映できず、あらかじめアプリケーションで設定された頻度で行われたとのこと。

 

 

 

この論文は大学院生の修士論文に加筆・修正をした内容だと記されています。

具体的には、カウンセラー役を大学院で臨床心理学を学ぶ大学院生1名が担い、クライエント役は大学生24名が担当したそうです。いわば模擬カウンセリングのような実験だったようで、今後の課題など(本研究の限界)にも言及されていました。

 

 

とはいえ、なにしろ

この研究は「東京大学バーチャ ルリアリティ教育研究センターの支援を受けて、パーソルワークスデザ イン株式会社と株式会社UsideUにご協力をいただいています」とのこと。

 

すばらしいですよね

 

最近は大学院生も産官学連携でどんどん研究のスピードを加速できる世の中になったんですね。

 

前回ご紹介した「メンヘラせんぱい」のように大学院生時代から起業する学生も多くいるし、企業のバックアップを得て研究できる学生もいるし、人生の選択肢も増えるし、いいことですよね。

 

コロナ禍で誰しもつらい気持ちを抱えた時期があったと思いますが、

つらいときに、自分を楽にできるサービスが一気に増えて人々を救ってくれるのではないか、日本の未来はきっと明るい、と期待しています

 

 


 

 

参考文献

1)三枝弘幸・内村慶士・谷川智洋,・下山晴彦 (2022).アバター通信を用いた心理支援における非言語コミュニケー ションの豊富さと対面性の低さの役割の検討. パーソナリティ研究,30(3),174–185.