親の離婚。父の顔を知らない娘

母娘関係改善カウンセラーの横山真香です。

 

5月17日、離婚後の共同親権を導入する改正民法が成立。離婚後、父母が協議し、双方が親権者となる共同親権か、一方のみとする単独親権かを選択するようになります。

子供はどちらの親と一緒に暮らすことになるのか。片方の親とも会うことはできるのか。

最優先されるのは「子の幸せ」だけれど、実現するのが難しい。

母娘関係のカウンセリングケースの中でも、過去にこうした問題に関するご相談がありました。今回は、このテーマを取り上げたいと思います。

 

・産後に離婚した母

 

「母は、私を出産後、離婚しました」と話すクライアントさんは30代半ば。祖母と母と3人で暮らしているという。

「私は一度も父の顔を見たことがありません。物心ついた時から、祖母と母親に父の悪口をずっと聞かされてきて、とても悪い人だと思っていたのです」。

 

クライアントさんは、父親に会いたいとは一度も思わなかったそうだ。30代になり一人暮らしをしたいと二人に切り出したところ、大反対された。

 

「ひとり親として、あんたを必死に育てた母親を捨てるのか」と祖母に責められ、母親は、「おばあちゃんは歳取ってきているのに、世話もしないのか」と怒る。

二人の口癖は、「あんたをここまで立派に育て上げたのは、私らのおかげ」。

 

もちろん、感謝はしているけれど、

「私は、これから祖母の介護も、母親の面倒も見なければいけないのか。これが私の人生なのか」。そう思ったとき、自分の人生がつらく苦しいものに思えたという。

 

「私だって、いつかは結婚もしたい。普通の家庭がどんなものか感じてみたい。けれども、自分の人生は、育ててもらった恩返しをしなければいけないのか」と話す。

 

今回、カウンセリングを受ける決心をしたのは、ある事がきっかけだった。

 

・偶然、聞いてしまった父親のこと

 

 

ある晩、仕事から帰宅したクライアントさんは、居間で祖母と母親が話しているのを聞いてしまった。それは、父親のことだった。

 

「母親の話だと、父親は生まれたばかりの私に一切、関心をもたず、妻と赤ん坊の私を家から追い出したそうです。母は泣く泣く、実家に戻ったと。それから、必死に働きながら、私を育ててくれました。母は必至に働きましたが、収入はそんなに多くはなかったはず。でも、私を大学に通わせてくれて、奨学金も不要だと言われました。そこは少し不思議でした。祖父母も経済的には豊かではなく、いったい、どこからお金が出ているのだろうと思っていました」

 

その疑問が、二人の話からわかったのである。

 

「父は、私が大学を出るまで、ずっと学費を払ってくれていたそうです。私が成人式を迎えた時、父が『私に会いたい』と言ってきたのですが、私は断りました。なぜなら、学費を出してもらっていたことは知らなかったし、母と祖母から散々、父の悪いことばかり聞いてきたので、とても会う気にはなれなかったのです」

また、もし「父に会いたい」と言えば、確実に二人とも機嫌が悪くなるのはわかっていた。

 

「母と祖母は、私が大学を卒業した年に父が病死したと話していたという。クライアントさんはそれを聞いて、二人に対する怒りがこみ上げたと話す。

 

なぜ、真実を話してくれなかったのか。どうして、父親と会わせようとしてくれなかったのか。

 

離婚の理由は、父親が悪いということだったけれど、それは、母と祖母からの一方的な話であって、父親からは何も聞いていない。離婚の真相はどうだったのか、今となってはわからない。

 

・取り返しのつかない後悔

 

クライアントさんの一番の苦しみは、祖母、母への怒りもですが、何よりも、二度と父親に会えない、大きな後悔です。

 

学費を払い続けてくれていることを知っていたら、20歳の時、ちゃんと会うべきだった。

自分が赤ん坊の時に、追い出した、極悪非道な父親。そう思い続けてきたけれど、本当の父親はいったい、どんな人だったのだろうか。

 

考えれば考えるほど、今度は母、祖母への怒りが大きくなる。そうした思いでクライアントさんは来られたのです。

 

クライアントさんは、自分の怒りをどこに着地させるかという事と、父親に会いたい、しかし、それは不可能という現実、この二つに向き合うことになります。

 

カウンセリングは、この二つの課題を認識して頂くことから始まります。

 

怒りをどこに着地させるべきか。カウンセリングを通して、その道筋を見出して頂くことになりますが、きっかけとなるのは、母、祖母に、父親のことを話してもらうことかもしれません。

 

感情ではなく、事実を。

 

 

※ 今回の法改正については、反対、賛成、様々な意見があります。次回ブログでは、単独親権の親の元から離れた、娘のケースを取り上げてみます。(実際のご相談ケースではありません)

 

 

 

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母から、娘から、他人からいつも振り回されてしまうという方へ。

なぜ、いつも振り回されてしまうのでしょうか。それは、性格傾向によるものというのも、一つの理由として考えられないでしょうか。

ご自分の性格傾向を把握し、人から振り回されないマインドセット(心のあり方)を自分の軸に据えてみませんか。

 

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