昔の名画は今観ても本当に面白いのか?①

 

プーサン(日本 市川崑 1953年)

(敬称略)

 

子供の頃、白黒映画は面白くないモノと

 

勝手に思っていました。

 

なぜかと言うと、白黒(モノクロ)映画は

 

昔の映画、昔は古い、古いものは

 

面白くないっていう発想からです。

 

その考えを一掃してくれたのが

 

完全版の七人の侍を観てからです。

 

たまたまNHKで完全版の七人の侍を

 

観て、面白いじゃないかって思い

 

それからビデオ屋に行って

 

黒沢作品、生きる、悪い奴ほどよく眠る

 

天国と地獄、隠し砦の三悪人などを観て

 

昔の映画は面白いと思うようになり

 

ました。ただ、現在見ると面白くない映画

 

まぁちょっと文学的な映画、芸術的な映画

 

見る価値はあるのですが

 

一般の人が見ても面白くない名画も結構

 

あります。黒沢作品だと、どですかでんや

 

蜘蛛の巣城、羅生門なんかがそうです。

 

そういう映画を先に見ちゃうと

 

黒沢映画、面白くないとなってしまうので

 

名画と言われる作品を観て

 

現在の娯楽性という観点に置き換えて

 

少し紹介しようかと思います。

 

まずは市川崑監督のプーサン

 

プーサンは毎日新聞の夕刊に連載

 

された4コマ漫画の映画化で

 

日常の出来事や社会の風刺を題材に

 

しています。

 

まずはこの映画面白いのか?

 

結構面白いです!

 

プーサンと言うと、今ではディズニーキャラ

 

のクマを思い浮かべますが

 

この時代に日本ではくまのプーさんは

 

紹介されていません。

 

プーサンはパーサン、ピーサン、

 

ペーサン、ポーサンの中で一番ゴロが

 

良かったから題名にしたそうです。

 

昔の映画を観ると楽しいのは

 

昔の風景をカメラに収めている点

 

この映画では

 

昭和28年当時の東京の街並みを

 

映していることと、当時の世相や風俗を

 

紹介している点です。

 

この点は非常に面白いです。

 

あと昔の有名な歌手や俳優が

 

思いもしない役で出演していること

 

カンコ役の越路吹雪

 

越路吹雪と言えば、伝説のシャンソン歌手

 

で有名なのですが、歌手として売れる前は

 

東宝映画に結構出演しているんです。

 

お転婆娘でガンコな女性を楽しそうに

 

演じています。

 

主人公の野呂(伊藤雄之助)と

 

ストリップを見に行こうと誘う

 

観に行ったのはいいけど、ストリップは

 

男が楽しむもので、女性が見ても面白くない。

 

無理やり連れて来られた、野呂の方が

 

楽しんでしまうシーンは笑えます。

 

元が4コマ漫画なので、その4コマ漫画の

 

コマ数を増やして、短編にしてその短編を

 

つないで一つの映画にした作品です。

 

なので、一つ一つのシーンにオチの

 

ような会話があったりして楽しいです。

 

若い時の八千草薫が看護婦役

 

ででているのですが、とても可愛いです。

 

コメディーのテンポもよく

 

この映画の雰囲気をそのまま現代の

 

映画にあてはめてリメイクしても

 

面白い作品になると思います。

 

冒頭シーンでトニー谷が出ていて

 

昭和喜劇ファンの自分にとっては

 

懐かしいやら、うれしいやらで

 

市川崑のコメディーも面白いじゃ

 

ないかと思った作品でした。

 

(市川崑はコメディーも撮れるのに

 

ビルマの竪琴以降ははシリアスもの

 

ばかり作っていて、晩年のコメディー

 

作品も観てみたかったです。

 

金田一耕助シリーズで見せた

 

加藤武や石坂浩二が見せる

 

コメディー的演出はこの時代から

 

あったものなのですね。)