大歩危祖谷のお茶とその暮らし~deep japan③~ |  心樹庵 おちゃこよみ

 心樹庵 おちゃこよみ

  
 奈良の古い街並みが今も残る“ならまち”で日本茶と
中国茶の専門店を開いています。

悠久の都~奈良から大好きなお茶の魅力を発信して
いきます。

祖谷には地元の作物を使った数多くの郷土料理があります。
祖谷そば、石豆腐、そば米雑炊、こんにゃく等々・・・
それを気軽に体験できる場所が“歩危マート”です。
もちろん、この地域で作られたお茶もいろいろ買うことができます。
 
 
私たちもお昼をごちそうになってはいたものの、やはりこれだけは食べておこうと注文♪
 
 
祖谷名物、祖谷そばです。
しいたけが大きい~。
つなぎを使わないのが特徴だそうですが、祖谷産の蕎麦は後口にほんのり苦味があって、自然薯のようなぬめりがあるのが他の場所で食べるお蕎麦と違うな、と感じました。
このお汁がやさしい味で、胃に入っていくというより、細胞に沁み込んでいくような味でした。水質が良いというのも大きいかな。
 
と、こんな感じでお蕎麦を食べていたら、何となくの出会いと流れで今から釜炒り茶を作るという話に。
祖谷では元々商業的に煎茶を作りだす前の時代は、自家用に天日干しの釜炒り茶を作っていて、機会があればこれを作っている人やお茶に出会いたいという願いが少なからずあったのですが、まさかこんなタイミングよく!と自分でも驚き。。。
 
紹介してくれた人が言っていた通りに車を走らせ(何度か迷いつつ)、目的地へ~
標高に合わせてテンションも上がります⤴⤴
 
 
着いた途端、貴州の少数民族の村にワープしたかのような感覚・・・
空気の匂いとか、山の迫ってくる感じとか、いろんなものがシンクロしてきます。
 
 
いつもは春に作るけど、この時期は葉が硬いからよ~と言いつつ、お茶摘み。
全然大丈夫です(^^ゞ
こちらとしてはベストシーズンでないことよりも、釜炒り茶を作れる喜びの方が何十倍も大きい♪
しかし、子供の頃からお茶を作っていたという80代の女性の茶摘みの早いこと早いこと。
番茶だから大きい葉を摘むのですが、見てなくても摘めるというくらい、ほんとに早かった・・・
茶摘み姿がまたしても貴州のおばあちゃんと重なる・・・
 
 
摘んできた生葉をざざっと釜に投入!
初めて見るので適正量とかは私もよく分かりません(汗)
そして、今回は急遽な展開なのでコンニャクを茹でる用に使っている釜で作ってます。
 
 
薪を焚く匂いが福建省武夷山のさらに山奥の桐木村(正山小種の産地)のスモーク香と重なって、もはや自分が貴州にいるのか福建にいるのか分からなくなって、いやいや、日本の祖谷だった(◎_◎;)・・・みたいな
脳内で空間移動しているような状況でしたね~。不思議な時間でした。
 
 
そんな私を放っておいて、釜炒りはどんどん進行。
わっしわっしと炒っていきます。
この方が現在でも釜炒り茶を現役で作っている方。釜炒りはこの地域でもほとんど作るのを止めてしまったか、蒸して番茶にする方が多いそうです。加工も収穫も機械化できる煎茶の方がまだ続けていける方だとか。
 
 
次は2本の棒を使って炒っていきます。
炒りやすい様にちゃんと角度のついた棒です。(写真撮り忘れた~)
 
 
むしろに広げて揉み作業。
子供の頃は毎日の仕事で疲れてくると足使って揉んだんだそうです。
好き嫌いではなく、やらないと暮らしていけない状況で、ましてや子供の頃から・・・と思ったら楽しい気持ちではないだろうな・・・
と経験のない私も察します。
お話しの中で“ここの暮らしは大変だよ~”と何度も出てくる言葉に重みがありましたね~
でも一人暮らしになっても気心の知れたご近所さんたちがいる山の生活は手放せないものだそう。色々深い・・・
 
 
揉み終わり~
これから天日でしっかり乾かして天然の火と日で作るお茶の完成です♪
 
 
揉むのが軽かったのか、青味はないけれどとても優しい淡い味のお茶になりました。
寒茶(大寒の時期に蒸して揉まずに作るお茶)に似ている風味です。
 
来年は絶対春に来てね、と言ってくださったので、来春はベストシーズンを狙って行きたいと思います!
 
歩危マートでは、お茶以外にも野菜の収穫体験や地元の方のお話を聞いたりガイドしてもらえる体験が色々ありますので、大歩危に行かれた方はぜひ立ち寄ってみてください。
 
 
 
ちなみにやまちゃ(在来種)の釜炒り茶にご興味のある方は、高知県の大川村の在来種の釜炒り茶を扱っておりますので、ぜひお試しください。
 
 
こちらも薪火を使い、100年使い込んだ鉄釜で作る希少な釜炒り茶です。かなり傾斜の付いた釜で炒っています。
三波川変成帯の地質のミネラルを存分に吸って育った在来種には山韻がたっぷりと詰まっています。