土日の夕飯時にもなると、回転寿司屋は家族連れで溢れかえっています。なにせ、お腹いっぱい食べても、ファミレスで食べるのと金額的にはそれほど変わりがないので。
これまで、生で魚を食べる習慣は日本独特の文化でしたが、最近では、中国をはじめとする海外でも寿司として生魚をたべる人が増え世界的に魚需要が増加しています。
そのため、安定的・持続的に魚介類や魚を確保するために、養殖で魚を早く・大きく成長させるために、遺伝子改変がなされようとしています。
ゲノム編集
今、食品開発の流れは、「ゲノム編集」に移っています。日本では、世界に先駆けてゲノム編集食品の商品化が行われており、日本が実験場になっています。
(2019.9.24 クローズアップ現代)
2020年にGABAを多くするという謳い文句でゲノム編集トマトが開発されました。
2021年には、京都大学と近畿大学との共同ベンチャー企業(リージョナルフィッシュ社)がマダイとトラフグのゲノム編集魚を開発し、農水省と厚労省に届け出、受理されています。
(TBS NEWS)
ゲノム編集とは、生物がもっているDNAを切断する技術で、例えば成長を抑制する遺伝子を切断すると、成長促進のみが働き、肉厚になったりします。
厚労省は、ゲノム編集で開発した食品は従来の品種改良と同じであるとして、同省の安全審査を受けなくても届け出だけで流通を認める方針としています。
しかし、人為的にDNAを切断した場合、その生物に突然変異をもたらしたり、人間が食べたあとに何が起こるかは予測できず、安全性に疑問を呈する研究者も少なくありません。
ゲノム編集魚の共同開発
2021年11月、「スシロー」や「京樽」などを営むFOOD&LIFE COMPANIES(F&LCグループ)は、広島大学発ベンチャーのプラチナバイオ、京都大学発ベンチャーのリージョナルフィッシュと3社で、「ゲノム編集」を使った魚類にかかわる共同研究を開始することを発表しました。
その理由は、(中国による魚の乱獲等による)水産資源の枯渇、世界規模での魚需要の拡大等から安定的・持続的に水産資源を確保するために、品種改良法の導入が必要だとのことからです。
2022年9月、リージョナルフィッシュ社は、約20億円の資金を調達し、国内最大級の養殖プラントの新設など量産体制の整備を行うとのこと。(記事)
寿司チェーンへのアンケート
2022年1月、日本消費者連盟が、寿司チェーン及び海鮮居酒屋チェーン計18社にゲノム編集魚の取扱い等についての質問状を送付しました。その内、9社から回答がありました。
すしざんまい、魚民、平禄寿司の3社は、明確に「ゲノム編集魚を使用しない」と回答がありました。(回答一覧はこちら)
残りは、「回答しない」「回答を差し控える」「無回答」でした。
このアンケートに、スシローは無回答でしたが、最も積極的にゲノム編集魚の採用に取り組んでいます。
長期的な安全性は不明
ゲノム編集魚を食べ続けるとどうなるのか、まだ長期的な安全性はわかりません。
そこで、遺伝子組み換え食品として普及している「遺伝子組み換え大豆」をラットに与えた実験結果を以下に掲載します。(米国環境医学アカデミー論文より抜粋)
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遺伝子組み換えの大豆をメスのラットに給餌すると、そのメスから生まれた赤ちゃんのほとんどは 3週間以内に死亡した。遺伝子組み換えではない天然の大豆を与えた対照群の死亡率は10%だった。
遺伝子組み換え大豆で育てられたラットの赤ちゃんは、サイズも小さく、そして、その後、不妊になりやすかった。
オスのラットに遺伝子組み換えの大豆を与えると、それらのラットの精巣は実際に色を変えた。通常は、ラットの精巣はピンク色だが、それが濃い青となったのだ。
そして、遺伝子組み換え大豆を与えられた若いマウスは精子が変化した。
オーストリア政府の研究では、遺伝子組み換えされたトウモロコシを給餌されたマウスは、生まれる赤ちゃんの数が少なく、大きさも通常より小さかった。
米国環境医学会(AAEM)は、「可能な限りGM(遺伝子組み換え)食品を避けること、GM食品には健康リスクがある」と発表しています。
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このように、遺伝子組み換え食品を食べることによる健康リスクは、年数が経過した後から分かってきます。
今後、ゲノム編集された食品が市場に出回ったとしても、安全性が確認されていない以上、食べることは避けたほうが無難でしょう。
ただ、ゲノム編集魚に表示義務はないので、見た目ではゲノム編集されているのかどうか、分かりません。
今のところ、鯛とフグの養殖魚には気を付けたほうが良いことと、安い食べ物には、何らかのリスクがあると思うべきです。一部の回転すし店に、試験的に導入されている可能性は否定できません。
安全な寿司を求めるならば、地元の回転しない寿司屋に、相応の対価を払って、たまに行くのが良いのでしょう。
本日も、最後までお読みいただきありがとうございました。