サウナスーツ 誕生
僕が引退してイタリア料理店を出してから間もない頃だから27~28歳の時の話
広島に帰省し流川のとある飲み屋へ行った
親父が久々に一緒に飲みに行こうって
いやいや付き合い飲みに行った
1軒目は良かったが2、3軒も付き合わされイヤイヤその店へ入った
店に着いてもまだその憂鬱な気分を引きずっていた
今考えてみると僕もまだまだ子供だった(笑)
飲み屋と行っても小洒落た所でも高級な所でもない
なんというか〜色気も糞もないただのスナックだ
失礼!!
ママさんに怒られる (笑)
そこに偶然 カウンターの隣の席に座っていたのが清水さん
広島出身の清水さんもたまたま帰省中でこのスナックへ飲みに来ていた
そんでそこのママが
こちら清水さん
清水さんも今、東京にいるのよ~と紹介してくれた
僕より5歳年上の人だった
清水さんもまた結構無愛想だった
ママがこちら世界チャンピオンの竹原さんよと紹介しても
あ~そうなの ふ~ん
俺 ミーハーじゃないし~的な態度で煙草吸ってた(笑)
それでも僕は「大田区でイタリアンやってるんで良かったら来てくださいよ~」といった
そしたら清水さん「わかった 今度行くよ」っと言ってきた
僕はどうせ社交辞令だろうな~と思いながら
「今度とお化けって出ませんよ」といってその日は別れた
それから一週間後、清水さんも意地になったか
本当に僕の店に現れた
そんでそれからも時々やってきた
その頃僕はほぼ毎日店に出ていた
しばらくしてガチンコに出るようになり
段々忙しくなっていった
清水さんとはだんだん親しくなり店の外でも会ったりするようになった
互いに身の上話やプライベートな話もするようになった
清水さんは友人と共同で通信販売の会社をやっていた
それからまたしばらくして
僕は現役時代の昔話の流れから減量の話をした
大体試合が決まると1ヶ月前から約10kg体重を落としていく
最初の5kgは2週間で軽く食べる量を調整し普通に練習すれば簡単に落ちる
だけどそこからが大変
きついトレーニングをしながら飲まず食わずで落としていくんだけど最後の2kgがなかなか落ちない
汗を絞り出しながら落としていく
当時はシャカシャカした銀色のビニール製のサウナスーツしかなかったからその下に厚着して
さらにさらしを何重にも巻いてたんだけどそれがかなり蒸れるし動きづらい
だけどそうやって汗かいて計量の日までになんとか絞っていく
たしかそんな感じの話をしたと思う
そしたら清水さんめっちゃ興味津々で
もっと詳しく聞かせてよって
そんで
それ絶対いいよ
不便だった点を改善して今までにないお洒落なサウナスーツ
一緒に作ろうよって話になった
こうしてサウナスーツが誕生した
その後、これが自分でもびっくり( °_° )の爆発的大ヒット商品となった
チャンスや出会いってどこに転がっているかわからないもんだ
それに不便なことも工夫次第で改良出来ることっていっぱいある
行動に移すかどうかはほんの少しの差
あの日、広島のあのスナックで社交辞令で終わっていたかもしれない出会いが僕にはかけがえのないものとなった
つづく
じゃあの。