告発 | 竹原慎二 オフィシャルブログ

告発



僕はAともう話したくなかった
しゃべったところでどうせ不愉快になる話に違いない

僕は今 治療を最優先させなければならない Aとしゃべればまたストレスがたまり免疫力を落としかねない

そんなバカらしいことはない

東大病院へ転院してからも何度かAから着信があったが僕は出なかった 
 
僕が出ないもんだから女房にもかけてきたがそれも出なかった


そしてそのうちかかってこなくなった



僕は約5ヶ月間入退院を繰り返しながら抗がん剤治療 手術 免疫療法を終えた


8月28日が最後の免疫療法の点滴日だった 


その日 家に着くと女房が 
今日で長かった治療もやっと終わった
でも 私はもう一つやらなくてはならないことがあると言った 

すべての治療を終えた日 Aに電話をすると決めていたと


そして女房は電話をした

Aは相変わらずの軽〜い口調で 

お〜奥さんどうしてた? あれから心配していたんだよ〜
チャンピオンは?元気?膀胱は全摘したの?

女房は えぇ 今日すべての治療が終わりました  あなたの誤診のせいで主人は命の危険にさらされ 膀胱を失いました 

あなたはご自身の誤診をどうお考えなのでしょうか 


すると 


は〜?へ〜?
え〜?なになに?どういうこと?と


この人はもしかして女房がお礼の電話でもかけてきたとでも思って出たのだろうか 


主人はあなたのことを医師として友人として信頼していました  体調不良を感じあなたを頼ったのです それを1年もの間 膀胱炎 前立腺炎 前立腺肥大 と誤診しましたよね


えっ それは えっと あっ カルテを見ないと えっと …

僕はちゃんと
えっと そのっ あっ 

えっ チャンピオンは?あっ えっと 今どうしてるの?
あっ あのっ 手術はしたんだよね?お  お見舞いとか行ってもいいかな? 
チャンピオンに会いたいよ〜
また前みたいに酒とか呑みたい


それは私がお返事できません あなたと会うかどうかは主人本人にきいてください


あの えっと あっ 僕は長い間 チャンピオンと友達だったんだ えっと その
あの えっ…




原因がわからないならわからないとどうしてそういってくれなかったのか あなたが適当な病名をつけ 薬を出し続けたせいで本当の病気を発見するのが遅れた

どうしてそんないい加減な診断をしたのか

 どうして細胞診検査をいれてくれなかったのか 

どうして専門医に繋いでくれなかったのか 





あっ えっと それは…あっ 
奥さん 僕どうしたらいい? えっ あっ 


これは私からのお願いです 
どうか主人に謝ってください 




謝ってください







女房はもの凄い真剣だった 今日までずっと心に決めてきた強い意思を感じた あまりの気迫に2階にいた娘も驚いて様子を見に降りてきた


えっ 謝る? あっ 謝ればいいの? 

 
何を謝るかの意味をわかってますか? 
自分の誤診のせいで命の危険にさらさせ膀胱を失わせてしまって申し訳なかったと心から謝罪をしてください 



あっ えっ とそういう意味?
それは… 僕はその時 その時ちゃんと診て えっと あの あっ… 



あっ 奥さん 今日はもう遅いから近々必ず電話するから  チャンピオンとまた飲んだりしたい えっ あっ 明日かあさって必ず電話するから…と切られた 


女房の電話を切ったあとすぐAは僕の元マネージャーのやっさんに電話をしたらしい
 
やっさんは前の事務所で15年間 僕の専属マネージャーだった
僕とAは十数年前からの付き合いだったが やっさんもよく同行して一緒に食事をしたり 体調が悪い時はAの診察を受けたりしていた


僕の入院中 やっさんは一度Aに電話をしている だがAは守秘義務を盾に僕のことを話せないといったらしい 

都合のいい守秘義務だ


だが今回は自分から電話して
どうしよう どうしよう チャンピオンの奥さんから電話があって僕のせいだと責られてどうしたらいいかと


本当にバカなヤツだ 


僕はこんな人を医者として友人として尊敬して頼ってきたのかと思うと情けなかった 





もういいわ 






ただただ情けない 



だがアンタは人の命を預かる仕事をしているんだよ 今も大学病院で診察を続けているんだからもう少し自覚をもったらどうだ
僕のような被害者を二度と出してはならない それができないなら医者を辞めたほうがいい

アンタは勉強だけしていたら 自分の失敗を 誰かにそうやって泣きついていつも尻拭いしてもらってきたのか? やっさんは僕の元マネージャーだ アンタのマネージャーじゃない
電話をかけて泣きついたらなんとかしてくれるとでも思ったのか? 
次は誰に泣きついたんだ?




それ以来Aから電話はない



僕はもしアイツが一言でも心から悪かったと謝ってくれたなら公表する気はなかった




だがアイツは








逃げた






つづく







じゃあの。