舞城王太郎 『阿修羅ガール』 | 書評ブログ

舞城王太郎 『阿修羅ガール』

舞城 王太郎
阿修羅ガール

なんだか人気の覆面作家、舞城王太郎。エンタメと純文学の両方を跨いで創作活動中けれど、今回の作品は三島由紀夫賞を受賞しているから、一応純文より?福田和也が押して見事受賞となったらしい。
で、内容はというと、最初のあたりは宗田理の作品を青年向けに過激にしたような感じかなという印象を受けた。正直この女子高生風な語り口で全編書いてるとしたらツライなと思ったけれど、第二部のラッセ・ハルストレム監督の「やかまし村の子どもたち」、「やかまし村の春・夏・秋・冬」にインスパイアされたという「森」からは急に村上春樹テイストになる。平易な書き方で、かつ内容が空想的世界という『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』的な感じ。
というか今、この話の内容を簡潔に書こうと試みたけれど、案外情報量の多い話というかプロットが多くて、まとめづらいことを発見。主人公の語り口調に騙されそうになるけど、実は結構入り組んだ話だったりする。
それでもがんばって重要であると思われる主題を考えると、「精神世界に踏み込んでくる他者による自己統一性の崩壊」、「対岸(崖)の死の世界」、「悪の改心」、みたいな要素がメタフォリカルと直接的な言葉によって綴られている。とまで書くと大げさかもしれないけれど、ひたすらセックス、フェラチオそれにウンコの描写に終始している作品でもないということ。他の作品も読んでみようかな、という気には一応なりました。