ジャック・ケッチャム「老人と犬」

- 著者: ジャック ケッチャム, Jack Ketchum, 金子 浩
- タイトル: 老人と犬
読了しました。スティーブン・キングが絶賛している、ジャック・ケッチャムの作品でHugo Strikes Back!さんがmixiで触れてたので興味を持ち購入しました。どこにも売ってなくて結構探し回ったら実家の一番近い本屋で売っていたという。他にも『隣の家の少女』も売っていたから、湘南台に帰る前に今日買っておこうと思う。
それでこの作品の内容だけれども、老人の飼っていた犬が少年たちによって銃で射殺されることで始まる。いきなり不条理を突きつけられて、読んでいるこちらが面食らっているうちにも話はどんどん進んで、アメリカらしく裁判をしようとしたり、ニュース番組に出演して事件を市民に訴えようとしたりで復讐のために燃える老人だけれど、犬を殺した少年の父親がなかなかのやり手で、彼らと老人との対決が全編を通してスリリングに描かれてる。
中盤で老人が訴訟に持ち込むために戦略を練ったりするわけだけれども、やり手の少年の親父が先手を打ったりして、老人を不利な方向へと仕向けるあたりは、いかにも訴訟大国のアメリカらしい感じで、そのまま心理戦が続くのかと思ったら、後半は銃で対決する場面が描かれてます。不条理に黙っていられないのがアメリカ人なんだろうと思わせる部分。
それにしても、犬が無意味に射殺されるという設定は不条理そのもので小説らしい感じだけれど、銃で少年一家に復讐するまでに話が発展してしまうあたりはすごいと思う。少年とその親父は、成金で少し歪んだ家庭として描かれていて、何をしでかすかわからないといった雰囲気だったけれど、老人もここまで過激に描かれることになるとは思わなかった。純文学ならその後の老人を淡々と描いていったりするのだろうけれど、この小説はミステリーにジャンルわけされるだけあってエンターテイメント的な話の展開をする。それでもただ過激な描写によって成り立っている小説なわけではなくて、心理描写や幻想的なイメージも度々登場するから、一概にも娯楽小説とよぶことはできないと思う。
この辺りはあとがきで中原昌也も触れていて、ようするに「洗練された読み物」と評している。この指摘は純文学と娯楽小説の垣根をあいまいにしたと言われることもある安部公房にも似た立ち居地だと思う。とにかく面白いから、一読あれ。
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