ジャック・ケッチャム「隣の家の少女」 | 書評ブログ

ジャック・ケッチャム「隣の家の少女」

著者: ジャック ケッチャム, Jack Ketchum, 金子 浩
タイトル: 隣の家の少女 

 スティーブン・キングが大絶賛している作家ジャック・ケッチャムの作品。Hugoさんのところで知ったのだけれど、残酷な話で読みたくないと書いてあった。確かにひどい話で、本の帯にも「これはヤバい!!最悪なことが起こります!あなたは最後まで読めますか!?」という風に謳っていたりします。「めくりたくないページもあった」というのはキングのあとがきにあった言葉だけれども、確かにきつい描写もあっりました。

 

 話は主人公であるデイヴィッド少年の隣の家に、事故で両親をなくした姉妹メグとスーザンがやってくることで始まります。小川で美しいメグにデイヴィッドは引かれるという、ハックルベリー・フィン的な幕開けだけれど、すぐに隣家での不協和が始まり、メグは家主であるルースとその息子たちによって虐待されることになります。

 

 ほとんどが、メグの悲惨な虐待の描写で占められている小説で、確かに人によっては最後まで読み通すことができないかもしれないです。女子高生コンクリ詰め殺人事件を連想しました。あと、読んだ人なら誰もが感じると思うけれど主人公であるデイヴィッドが、腑抜けで友達からもトンマと呼ばれたりする人間として描かれていることによる憤りでしょうね。「なんで、助けてやらないだ」と思わず言いたくなるけれど、彼はまだ10代前半の子供なわけで、余計な感情に悩んだりするわけです。昔からの友達がすむ隣家での行いを、親に密告することはできないなどといったことに。同時に話の舞台である町は、村的な小さなコミュニティーであり、誰もが知り合いといった空間であるにも関わらず、他人の家で行われていることに対しては干渉しないという風潮。こういった環境がメグを地下室に監禁して、虐待することを可能にしたわけです。
 
 しかし、読んでいて思ったのは、前回の読んだ『老人と犬』の老人といい今回のメグといい、致命傷ともいえる怪我を負っているにも関わらず、案外普通に話したりするあたりが、ちょっとリアリティーに欠けているということ。それと、今回の作品はほとんど救いがないので、ダーク一辺倒が苦手な人は読まない方がいいと思う。