森鴎外「舞姫」とミス慶應コンテスト
青空文庫 舞姫 切込隊長のブログを読んでいたらこんな記事がありました。「ミス慶應コンテスト」をネットでやっているらしい。私の大学のミスコンの話であるけれど、このアリエンティ・サラ女史の写真を眺めていたら、森鴎外の「舞姫」を読みたくなってきてしまったので、今回はありがたくもネット上の青空文庫でただで読み返してみました。
これは鴎外の最高傑作のひとつに数えられる作品ですが、彼自身の体験したフィクションに近い物語でもあります。主人公の太田豊太郎がドイツに出張した際に、ダンサーであるアリサという少女に恋を抱くというもので、アリサは子供を授かり妊娠して二人は幸せなひと時を過ごすものの、結局豊太郎は立身出世を選び、日本に帰ってしまうというあらすじだけだと、かなり白状に聞こえる内容です。
しかし、読んでいるときにはそのように感じさせない豊太郎の心の葛藤などがうまく書かれており、相沢謙吉なる友人の友情とツテとのおかげで、ドイツで少女に現を抜かし堕落しかけた心から勉学と出世の道へと舞い戻り日本への帰国を果たすための航海につくわけです。それでも少女に対する罪悪感からは抜け出すことができないのは当然のことであり、彼が日本に帰国するのを知ったアリサは精神に異常を来たしてパラノイアになってしまう。同時に豊太郎のことを思うあまり、日本に積極的に戻すために働いてくれた相沢に対して、ある種の憎みを抱いてしまうという描写で終わります。
やはり豊太郎に非がある話だけれど、なんとも壮絶な心の葛藤が読んでいるものを引き込むもので、読了後は物悲しい気分になれます。森鴎外自身の体験にはこの続きがあって、少女が彼を追って日本まで来てしまうのですが、鴎外の家族の説得によって帰っていったそうです。
まぁ、アリエンティ女史を見てアリサのことを思い出したわけでけど、国籍が違うんですよね、この二人は。イタリアとドイツ。それにどう考えても貧乏であるとは考えられないアリエンティ女史だけれど、結構容姿に関しては両者似たものがあるのでないかと思えたりする描写も本文にあるからよしとしときます。最後はパラノイアか、悲惨だ。
それにしても隊長はひどい。「個人的に、ミス慶應として相応しい資質というものを設定してはいる」の2番目の要綱に「慶應の現役塾生である。ただし湘南藤沢キャンパス(SFC)は認めない」という衝撃的な項目がある。やはりSFCは慶應じゃないという考えが三田、日吉の一般的総意であるようだ。どうでもいいけどさ。