遙か昔、紀元前の世界から
時は巡り、季節は巡り、
暦(こよみ)は巡ります。
止まること無く、
果てしなく流れていく時を
風に例えれば、
暦(こよみ)は、
その風を受けながら
回り続ける風車。
時の流れと共に
終わり無く回り続けていくもの・・・。
そして
終わることの無い時の流れの上で
自分に与えられた時を精一杯生きて、
やがていつか消えていく定めを持った
私たち人間にとって、
時の流れを可視化する
「時の風車」=「暦」
それは、
とても大切なものですよね。
現在、世界の多くの国、
そして私たちの住む
日本でも使用されている
「太陽暦」
は
「グレゴリオ暦」
とも呼ばれる
1582年10月15日
ローマ教皇グレゴリウス13世が
制定したものです。
このグレゴリオ暦が制定される前は
紀元前45年1月1日
共和政ローマの最高神祇官・独裁官・執政官
ガイウス・ユリウス・カエサル
が制定した
「ユリウス暦」
という暦がヨーロッパでは
使用されていました。
グレゴリオ暦とユリウス暦は
1年間の月数は変わらず、
月の呼び名もそのまま
受け継がれています。
各月の名前の由来は、
1月(January)~6月(June)は
神様の名前にちなんでおり、
(例えば3月=Marchは
軍神マルスにちなんでいます)
9月(September)~12月(December)は
ラテン語の数字にちなんでいます。
ただしこの数字、
Septemberの "Sept"はラテン語の「7」
Octoberの "Octo"は「8」
Novemberの "Novem"は「9」
Decemberの "Decem"は「10」
とその月の数より2つずつ
小さい数字が元になっています。
それでは
7月(July)、8月(August)
の名の由来は??
【星座は巡り、時は巡り、暦も巡る・・・】
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紀元前45年「ユリウス暦」を
制定したといわれる
ガイウス・ユリウス・カエサル
(Gaius Iulius Caesar)
彼の「カエサル」の名は、
ドイツ語のKaiser(カイザー)や
ロシア語のцарь(ツァーリ)
など、
「皇帝」
を表す言葉の語源となっています。
そして彼の名は英語読みである
ジュリアス・シーザー
(Julius Caesar)
としても知られています。
このブログでは、ここからは
ジュリアス・シーザー
で統一して呼ばせて頂きます。
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"alea iacta est"
(英訳)
"The die is cast."
「賽(さい)は投げられた」
(ジュリアス・シーザー)
紀元前49年
古代ローマ(共和制ローマ)の統治機関
「元老院」に背いて軍を率いて南下した
当時、共和制ローマのガリア地区
総督だったシーザーは、
北イタリアのルビコン川を通過する際に
この言葉を語ったと言われます。
ルビコン川は共和制ローマの
北の防衛線であったため、
軍団を率いてルビコン川を超えて
南へ向かうことは
ローマに対する反逆とみなされていました。
シーザーは
「ここを渡れば人間世界の破滅、
渡らなければ私の破滅。
神々の待つところ、
我々を侮辱した敵の待つところへ進もう、
賽は投げられた」
と自らの率いる軍団に
檄を飛ばしたそうです。
「賽(さい)は投げられた」
この言葉、現在でも
「もう帰還不能限界点を超えた。
あとは最後までやるしかない」
という意味で使われていますね。
このローマ内戦開戦時の
シーザーの故事にちなんで
「ルビコン川を渡る / cross the Rubicon」
も同様に、
「帰還不能限界点を超える」
ことの例えに使われています。
私たちの人生でも
意を決し、勇気を持って決断し
「その先」
に進む必要のある時が
あるかもしれません。
そんな時、
シーザーのように振り返ること無く
まっすぐ進んでいきたいですね。
勝利だけを信じて。
「賽(さい)は投げられた」
そう口にして、
自分自身に檄を飛ばして。
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"veni, vidi, vici"
(英訳)
"I came, I saw, I conquered."
「来た、見た、勝った」
ローマ内戦でローマを制圧し、
その後エジプトを平定したシーザーが
紀元前47年
黒海沿岸のポントスの王
ファルナケス2世の軍勢を破った際に
ローマにいる腹心の1人
ガイウス・マティウスに
戦勝を知らせた手紙に書いた
言葉がこの言葉だそうです。
シーザーの文体は明瞭簡潔が
特徴とのことで、
この言葉はその最たるものとして
知られています。
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"Et tu, Brute?"
「ブルータス、おまえもか」
紀元前44年、
元老院においてシーザーは
暗殺されます。
暗殺の際に
腹心の1人であった元老院議員
マルクス・ユニウス・ブルトゥス
の姿を認めたシーザーは
ひどく落胆し、
こうつぶやいたと言います。
この言葉はシェイクスピアの
「ジュリアス・シーザー」
の戯曲によって世界中で有名になった
とも言われます。
シェイクスピアの舞台での台詞は
"Et tu, Brute? Then fall, Caesar ! "
「ブルトゥス、お前もか?もはやシーザーもここまでか!」
というもので、
この台詞の影響から西洋では
"Et tu, Brute?"
は親しい者からの裏切りを
意図する格言として
定着しているそうです。
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遙か昔、紀元前の世界から
時は巡り、季節は巡り、
暦(こよみ)も巡り続けます。
そして、
人はそんな時の流れの上を
懸命に生きていきます。
自分の思いや行動、
その人生に対して
ある時は追い風となり、
ある時は凪となり、
ある時は逆風となる、
時の風を受けながら・・・。
だけど、時の風車は
残念ながら逆回転はしません。
そう、
時も暦も元には戻らないのです。
だから、
その先に何が待っているとしても、
人は、巡る時の流れの中で、
前進するしか無いのです。
前進するしか無いのなら、
「賽(さい)は投げられた」
そうやって意を決して、
成功を信じ、勝利を信じて、
「来た、見た、勝った」
そう言える日が必ず来ると信じて、
最後まで全力で進みましょう!!
先のことなど
誰にもわからないのですから!!
【古代ローマの中心部「フォルム・ロマヌム」の遺跡フォロ・ロマーノ。
シーザーもこの風景を見ていたのもしれませんね】
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7月(July)、8月(August)
の名の由来は、
諸説はあるものの、
ユリウス暦において、
紀元前44年から7月は
ユリウス・カエサルの名にちなんで
Julius ( Iulius ) 。
彼を継いだアウグストゥスが
閏年の扱いを修正した際に、
その名に因んで8月を
Augustus
と呼ぶようになり、
現代でも英語・フランス語などの
ヨーロッパ諸言語に
そのまま引き継がれている
という説が一般的だそうです。