運命とは時に残酷なもの。

 

まるで、その人間の

心の容量を試すかのように

容赦なく試練を与え、

心を揺さぶってきます。

 

 

もしあなたが、

運命によって絶望の淵に立たされた時、

 

立ち向かうことができますか?

そして乗り越えることができますか?

 

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I will seize Fate by the throat. 
It will not wholly conquer me ! 
Oh, how beautiful it is to live – 

and live a thousand times over !

(Ludwig van Beethoven)
 
私は運命の喉首を締め上げてやるのだ。
決して運命に圧倒されないぞ!
この人生を千倍も生きたなら、

どんなに素敵だろう!

(ルードヴィヒ・ヴァン・ベートーベン)

 

 

ベートーベンについては、

みなさん既によくご存知ですよね。


1770年、

ドイツのボン生まれ。

J.S.バッハ等と並んで音楽史上

極めて重要な作曲家であり、

日本では「楽聖」とも呼ばれ、

その作品は古典派音楽の集大成

かつロマン派音楽の先駆けとされています。


そんな彼の人生は苦難との戦い、

運命との闘いでした。

 


【ベートーベンの生まれ故郷、ドイツのボンの現在の街並】
 

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祖父も父も宮廷歌手の家に生まれ、

 

20代前半にして、ウィーンでピアノの
即興演奏の名手として名声を博し、

その才能を認められていた

ベートーベンは、

 

20歳代後半頃より難聴が

徐々に悪化して
28歳の頃には最高度難聴者と

なってしまいました・・・。

 

 

音楽家にとっては命に等しいような

聴覚が不自由になる・・・。

 

 

自分にとって一番大切な感覚が

失われたら・・・

 

それがあなたの身におきたと思い
想像してみたら、その苦悩の程は

きっと理解できると思います。


この世の全てが色を失い、
人生の何もかも失った気分、

 

何も無い、何の音もしない

真っ白い部屋に

閉じ込められたような、


そんな心境になるのではないでしょうか。

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This is the mark of a really admirable man: 

steadfastness in the face of trouble.

苦難の時に動揺しないこと。
これが真に賞賛すべき

卓越した人物の証拠である。


一時期はベートーベンも、

死に等しいような絶望感から、


『ハイリゲンシュタットの遺書』
と呼ばれる文書を記して

自殺も考えたそうです。


しかし、

 

ベートーベンの心の中の

燃え盛る炎のような情熱は、

彼に音楽をあきらめさせは

しませんでした。


与えられた試練、

運命に導かれた絶望の淵から

戻ったベートーベンは、

 

音楽家にとって絶望的ともいえる

障がいに負けることなく、
 

交響曲第3番(英雄)の発表を皮切りに、

その後10年間にわたって
交響曲五番(運命)、六番(田園)、

七番、八番などの傑作を

多数発表していったのです。

 


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We mortals with immortal minds are only born for sufferings and joys, 
and one could almost say that the most excellent receive joy through sufferings.


不死の心を持つ我々人間は、

苦悩と歓喜の為だけに生まれる。
その中で最も優れた者は、

苦悩を突き抜けて、

歓喜を勝ち得ると言えるだろう。


晩年の約10年は、耳がほぼ聞こえない
状態にまでなったといわれる、

ベートーベンでしたが、

それでも交響曲第9番のような大作を残し、
 
ワーグナーやブラームス、
ドヴォルザークやチャイコフスキー


といった、後世の音楽家にも、
大きな影響を与えていきました。

1827年、56歳の生涯を終えた時、
ベートーベンの心の中にあったのは、

難聴という「苦悩」ではなく、

その苦悩を乗り越え、
自分がやりたいことをやり遂げたという

「歓喜」だったのでしょう。



【生まれ故郷の街に立つベートーベンの銅像】

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一説によると、ベートーベンは
口にくわえたタクトをピアノに接触させて、

歯を通して、ピアノの弦の振動を
「感じていた」
そうです。


そう言われると、
あなたにも見えてくるかもしれません。

 

 

「自分には聞こえない音」

に囲まれて、

 

一心不乱に作曲を続ける、

ベートーベンの姿。


そこには、

絶望の片りんもなく、

自分自身を被害者にして、


「なんでこんなことになってしまったんだ?」
「なんで俺だけこんな目に?」

等の思考にとらわれることなく、
 

 

自分に起きている現実を、

事実として受け止めた上で、



「それでも愛する音楽を続けたい」

という前向きな思いに思考を集中させて


「どうしたら作曲を続けられるのか?」

「どうしたらいい音楽が作れるのか?」

それらをあきらめずに、

自分の目標を達成するために、

前だけを見て行動し続ける

 

情熱に満ちた、

エネルギーあふれる、
ベートーベンの姿。

 


あなたにも見えてきていませんか?

 

 

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You’ll give happiness and joy to many other people. 

There is nothing better or greater than that!

多くの人々に

幸せや喜びを与えること以上に、

崇高で素晴らしいものはない。

 


音の無い世界で、必死に

「音を感じながら」
自分の道を歩み続け、

多くの人々に「感動」という

幸せと喜びを提供し、


後世の偉大な作曲家たちにも
大きな影響を与えたベートーベン。

 

 

彼の人生、

彼が残した実績、

 

それらは彼の死後200年近くすぎた

現代を生きる私たちにも、


「乗り越えられない運命などない!」

そんな勇気と力を与えてくれますよね。

 

 

【交響曲第五番「運命」】

ベートーヴェンの創作活動の頂点のひとつと言われ、

ベートーヴェンの交響曲の中でも

最も緻密に設計された作品であり、

その主題展開の技法や

「暗から明へ」というドラマチックな

楽曲構成は後世の作曲家に模範とされているそうです。

 

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【注記】

現在のドイツのボン生まれの

ベートーベンが残した言葉は、

ドイツ語のはずですが、

 

それでも今回、日本語と共に

英語の表現を併記しているのは、

 

日本語よりは、

本人の語った言葉のニュアンスが

より近い形で反映されているのでは・・・

と考えた上のことです。