「ラスト サムライ」
というアメリカ映画をご存知でしょうか?
日本でも大ヒットした映画なので
ご存じの方もたくさんいるかもしれませんね。
舞台は、
明治維新がなされた直後の日本。
軍備の近代化への訓練のために
日本に招かれた
アメリカの軍人の目から見た
「『元日本政府の要人』による叛乱」
が描かれたこの映画、
監督の エドワード・ズウィックは、
「明治維新の実現に当初貢献しながらも、
やがて新政府に反旗を翻した
西郷隆盛
の美しくも悲劇的な生涯が、
我々の架空の物語の出発点となりました」
と語っています。
この映画の中で、
西郷隆盛をモデルとしている
といわれる登場人物
「勝元」
(渡辺謙さんが演じています)
が主人公のアメリカ軍人に
(トム・クルーズです)
「武士道」
について語るシーンは
映像的にもとても美しく、
印象的なシーンでした。
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お話を映画の世界から
現実世界に移していきます。
あの坂本龍馬は、
西郷隆盛を評して
師匠の勝海舟にこう述べたそうです。
「われ、はじめて西郷を見る。
その人物、
茫漠としてとらえどころなし。
ちょうど大鐘のごとし。
小さく叩けば小さく鳴り。
大きく叩けば大きく鳴る」
西郷が
大きく鳴った時・・・。
彼が覚悟を決め、行動を決意した時。
それは、この言葉によく表されている
のではないでしょうか。
「断じて行えば鬼神も之を避く」
(断固たる決意をもって行動すれば、
鬼神でさえその勢いに押されて、
道をよける)
この言葉、由来は司馬遷『史記』の
「断而敢行、鬼神避之、後有成功」
(断じて敢えて行えば
鬼神もこれを避け、後(のち)成功あり)
であると思われますが、
西郷もこの言葉を口にしていたそうです。
黒く大きく澄んだその瞳で
日本の未来を見つめながら、
自分の周囲に次々と立ちはだかる
様々な試練を突破していった西郷。
断固とした強い意志を持って、
らんらんと輝く鋭い眼光を放ちながら、
鬼神すらも寄せ付けず、
まるで無人の野を行くかのように
迷うことなく、まっすぐに突き進んで行く・・・。
そんな姿を連想させる
西郷にぴったりの言葉ですよね。
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西郷の人柄を表すもう一つの言葉。
そして、
こちらの方が本当の彼なのかな・・・
と思える言葉にこのようなものがあります。
「己を尽くして人を咎めず。
我が誠の足らざるを
常にたずぬるべし。
我を愛する心を以って
人を愛せ。
自己を許すが如く
人を許せ。
人を責めるが如く
自己を責めよ」
(西郷隆盛)
人を敬い、尊重する。
他人に向ける優しい笑顔の裏には、
自分自身をどこまでも厳しく律する心。
西郷の周りに人が集まり、
誰もが彼を慕ったのは、
彼の誠実で温かい人間性ゆえ・・・
だったのかもしれませんね。
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「もうここらでよか」
西南戦争の末、
西郷が
最期に残した言葉と言われています。
命をかけて精一杯、人を愛し
その命をもって
サムライの時代を終わらせた。
自分の人生に対する、そんな充足感が
この言葉に込められていたのでしょうか・・・。
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「敬天愛人」
西郷が生涯心がけた生き方を表す
言葉として有名な言葉です。
いざ覚悟を決めたら、
何者も寄せ付けずまっすぐに
断固として突き進む強さ。
常に自分に厳しく、
誰からも信頼され尊敬される
誠実さ。
そして
天を敬い、人を愛する
謙虚で優しく温かい心。
強く厳しく温かい…
私たちもそんな心を持って、
生きていきたいですね。
西郷のように、
そして
彼も見つめていた、
彼の故郷のあの桜島のように・・・。
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龍馬から見た西郷の記録は
他にもまだ残っているそうです。
龍馬は姉への手紙の中で
こう述べています。
「私し其内ニも安心なる事ハ、
西郷吉之助の家内も吉之助も、
大ニ 心のよい人なれバ
此方へ妻などハ頼めバ、
何もきづかいなし」
龍馬が西郷の人柄を認め、
彼を頼れば何の心配もないと
信頼していたことがわかります。
英雄は英雄を知る。
坂本龍馬と西郷隆盛。
二人はお互いを認め合い、
お互いを信頼しあい、
それぞれに与えられた
使命を果たしながら、
日本を
幕末という「激動の時代」から
明治維新という「夜明けの時代」に
導いていったのでしょうね。
【鹿児島県の西郷公園の西郷隆盛像】
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映画「ラストサムライ」の中で
勝元が語った「武士道」とは・・・
"Like these blossoms, we are all dying...
To know life in
every breath, every cup of tea,
every life we take.
The way of worrier.
That is BUSHI-DO."
「この桜の花のように、
私たちもみな散っていく。
吐息の一つ一つに、
茶の湯の一杯に、
敵の一人一人に、
命が宿っていることを知る。
それが武士道だ」
自分の目の前にある全てのもの、
その中にある命を静かに感じ、
そこにある命を愛する・・・。
この言葉、あなたにも
本当に西郷隆盛が語っているかのように
聞こえるかもしれません。
そのシーン、是非ご覧ください。
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