"Life isn't always what one likes, is it ?"
"No it isn't."
「人生、ままなりませんよ。ね?」
「本当に」
(映画「ローマの休日」より / グレゴリー・ペック、オードリー・ヘップバーン)
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映画「ローマの休日」。
名作中の名作と言われる作品なので
ご覧になった方は多いと思います。
ざっと紹介すると、
1953年製作のアメリカ映画。
ヨーロッパ最古の王室の王位継承者である
アン王女と新聞記者ジョーとの、
たった1日の切ない恋の物語です。
現代となってはベタな(?)設定ですが、
オードリー・ヘップバーンが、
有無を言わさず美しい!
そしてグレコリー・ペックが、
渋くてかっこいい!
トレビの泉や真実の口、スペイン広場といった、
ローマの観光名所がストーリーに彩りを添え、
現代においても支持され続けている、
公開から60年以上たっても
全く色あせることのない、永遠の名作だと思います。
様々な印象的なシーンやセリフが
満載のこの映画から、
今回、この記事の冒頭でご紹介したセリフは・・・
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永遠の都、ローマ。
現代的で明るく開放的な雰囲気と、
歴史を感じさせる重厚さをあわせもつ、
タイムマシーンのようなこの町で、
たった1日限りの自由な休日を
満喫したアン王女とジョー。
その高揚感の後、
ジョーのアパートに帰ってきた
二人はこんな会話をかわします。
「料理しましょうか?」
「台所は無いんだ。いつも外食さ」
「そうするのが好きなの?」
・・・そしてこの記事の冒頭で
ご紹介したセリフでした。
ジョーが
「ままならない」
そう表現したもの。
人生において思い通りにならないこと。
それは、食事のこと・・・
決してそれだけでは無かったのでしょう。
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ちなみに、このやりとり、
相手の問いかけに対して、
同意しているのにも関わらず、
英語での返答は
「No」
で始まっていますね。
「そうではない」
という、
否定的な事実に対する同意なので、
「Yes」ではなく、
「No」で始まるわけですね。
昔英語で習ったことを思い出しました。
(余談でした・・・)
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せっかくなので、この映画の世界
もう少しだけご紹介させて頂きます。
映画の雰囲気を「雰囲気」として
味わって頂こうと思い、
あえて日本語字幕の無い動画を選びました。
(映画「ローマの休日」より)
"Is this the elevator ?"
"It's my room."
「ここエレベーター?」
「私の部屋ですよ!」
物語の序盤。
眠くて仕方ない、
でも行く宛ての無いアン王女を
やむなく自分のアパートに連れてきたジョー 。
その際に炸裂したアン王女の
決して悪気はない「爆弾発言」です。
(上の動画の1'08"位のところからのやり取りです)
・・・・
"Keats"
"Shelly"
「キーツよ」
「シェリーですよ!」
(上の動画の3'12"位のところからのやり取りです)
自分に対してベッドではなく
「長椅子で寝て下さい」
というジョーに対し、
アン王女は
「私の好きな詩知ってる?」
と話を変えた上で、
大自然を長椅子に例えた
“Arethusa”(アレテューサ)
という詩の一節を語りはじめ、
その後
「キーツ (という詩人の詩よ。知らないでしょ?)」
と得意げにジョーに語ります。
直接
「この私を長椅子なんかに寝かせないでよ」
とは抗議せずに、
『私これだけ知性があるのよ。
そんな私に長椅子で寝ろって言うの?』
と暗黙のうちに語る、
アン王女の「育ちのいい」抗議に対して、
ジョーはシニカルに
「(キーツじゃなくて)シェリーの詩ですよ」
とアン王女に負けない知性を披露して、
突っ込みを入れたのです。
アン王女は
「キーツの詩よ」
と言い張りますが・・・。
ちょっと憧れる、
男女の知的な言葉のやりとり
ですよね。
この動画のたった約3分のやり取りは、
物語終盤のジョーの
「人生ままなりませんよ」
というセリフのシーンへの
重要な伏線の一つとなっている・・・
そう思える印象的なシーンです。
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私たちの人生も
なかなか思うようには、
いきませんよね。
「理想とは、追えば追うほど遠ざかる
蜃気楼みたいなもの・・・」
そんなものなのかもしれません。
でも、もしそんなふうに思った時、
愚痴を言ったり、
嘆いたりしてないで、
「人生ままなりませんよ・・・」
といって苦笑いしてみませんか?
あなたのその気持ち、
ネガティブな言葉で表現しているよりは、
きっと、
よりよい未来が待っている。
そんな気がしませんか?
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ちなみに、
アン王女が披露した詩は
(劇中では正解は明かされていませんが)
イギリスの詩人、
パーシー・シェリーの詩なので、
ジョーの言い分の方が正解だそうです。
名作中の名作と言われたこの映画、
機会があったら、
続きをまたご紹介したいと思います。
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