記事提供「三河新報 (別窓)」


 精神障害に属する高次脳機能障害については、さらに障害特性に応じた相談支援やサービス事業所の機能分化も個別ケースによっては必要と考える。現在は、一律に認められないとする市外地域活動支援事業所への利用についてもより専門性に特化し、有効と判断できる事業所機能がある場合には、当事者や家族等の希望により利用を認めるなど柔軟な対応が必要と考えるが見解を伺う。

 地域活動支援センターは、市町村独自の事業であるため、市外の事業所を利用する場合も、市外の方を受け入れる場合も、基本的に市町村双方や事業所との協定等による合意が必要であり、相応の負担金も生じる。本市としては、これまでも、市外の利用については必要性を考慮したうえで、協定を結ぶなど利用できるような措置を講じている。引き続き、当事者にとって最善を尽くす考えのもとで、個別のケースに基づき、利用の有効性や他の同等サービスの提供の可否などを含めて、総合的に対応を検討していく。

 他市の地域活動支援事業所の利用実績はあるとのことだが、どこの市か。

 現在、西尾市から豊橋市のグループホームに入居された方で、同市の地域活動支援センターを利用されている方が1名いる。他には、以前、西尾市の方が安城市のセンターを利用されていた事例もある。

 市民が希望する地域活動支援事業所が市内に無く、他市にある場合、どのような条件があれば協定を結ぶことが可能なのか。

 条件について特段の定めはないが、地域活動支援センターは、市の独自事業として、市民を対象に提供するサービスなので、市外の利用はあくまで例外的な措置となる。市外の利用にあたっては、市内に同等のサービスがなかったり、障害の特性から当該サービスの利用が必要不可欠だったりするなど、個々の状況に基づいて総合的に判断したうえで、先方の市町村や事業所の同意が得られれば、協定は可能。

 他市の地域活動支援事業を利用する場合、市町村双方と西尾市の協定を結ぶのか、各事業所と西尾市が協定を結ぶのか、協定の詳細について伺う。

 協定については、市町村によって方法が異なる場合がありますが、基本的には、事業所が所在する市町村が定める利用条件や費用負担などの規定に基づいて、本市と協定を結ぶことになる。費用については、本市のように運営を一括で委託している所や、障害福祉サービス費のように報酬方式の所もあり、いずれにしても、協定に基づき利用実績に応じた費用を本市が負担することになる。

 

 休職中の障がい者の方が職場復帰を目指すため、就労系福祉サービスを利用する場合「基本的に認められない」とするケースが少なからずあると聞く。必要に応じて利用できるサービス、方法を提示する姿勢や手続きの簡略化など当事者に寄り添った支援が重要と考えるが見解を伺う。

 休職中の方の職場復帰支援は、まずは企業に責任があり、厚労省も職場復帰支援プログラムや支援プランの作成など、いわゆるリワーク支援の実施に努めるよう推進しており、また、障害者職業センターによる支援も見込まれることから、一律に公費による福祉サービスを優先させることは適当とは考えていない。休職中の就労系福祉サービスの利用は、リワーク支援などが見込めず、企業や主治医がサービスの利用が適当と判断している場合に、市が必要性や効果などを判断したうえで認められることになっている。実際に本市でも、このような状況で就労移行支援を利用されているケースもあり、適切に対応していると考えている。なお、地域活動支援センターは、一般就労していても利用が可能であり、仕事終わりに立ち寄るのが日課になっている方もみえる。当事者に寄り添った支援は大変重要であり、必要な方には、センターの機能を十分に活用するとともに、相談支援事業所や様々な機関と連携して対応していきたい。

 「休職中の職場復帰支援はまずは企業に責任がある」と言われるがその根拠はどのようか。また、行政には休職中の従業員がスムーズに職場復帰できるようにサポートするため、職業訓練や再就職支援、心理的サポートなど適切な措置を講じる責務があるとは考えないか

 大枠として、市は、住民の福祉の増進を図り、復職支援に限らず何事も市民が安心安全に暮らしていけるよう最善を尽くす責務があると考えている。それを基本としつつ、実際の施策を展開するうえでは、優先されるべき事項との調整が必要となる。企業と従業員との関係でいえば、労働安全衛生法において、企業に対し、単に労働災害の防止だけではなく、職場環境と労働条件の改善により、労働者の安全と健康を確保しなければならないと定めており、国に対しても、企業が講ずべき健康の保持増進の措置に対して、適切な指針の公表を義務付けている。この指針に、復職支援も位置付けられるとともに、職場復帰支援プログラムなどが盛り込まれた手引きも示されている。これを背景に、国からは、雇用関係が継続している休職中の障害者に対する就労系障害福祉サービスの支給については、先ほど申し上げたような条件において取り扱うよう通知されている。市としては、原則に即しながら、個別案件の状況をよく勘案して対応していく。

 障害者総合支援法の改正により、障害者が休職から復職を目指す場合、 一般就労中であっても就労福祉系サービスを一時的に利用できることが予定されている。精神疾患や高次脳機能障害がある方は、個人の力のみでハードルを越えるのは困難な方も多い。より柔軟な対応が必要と考えるが見解は。

 困難を抱えた障害者に寄り添った支援を行うためには、制度の枠組みの中においても、実情に即した柔軟な運用が必要と考える。個々の障害特性や家庭環境など様々な事情を勘案するとともに、ご指摘の法改正の趣旨をよく踏まえながら適切に対応していく。

 障害者職業センターは名古屋市と豊橋市にあるが、西尾市は名古屋のセンターが管轄とのこと。遠方であり、誰しもが定期に通うには難しい。近いところでの支援が大きな意味を持つと思うが見解は。

 障害者職業センターでは、うつ病等で休職している人とその事業主の双方に、主治医とも連携しながら、円滑な職場復帰のための支援を行っている。復職に向けた課題の整理や復職の進め方の提案、職務設定の助言、リワーク支援の様々なプログラムなどが実施される。主に一般就労に向けた訓練を行う就労移行支援に比べ、実際に働いている職場への復帰という視点においては、個別の状況に基づく具体的な課題を踏まえたリワーク支援は、その実効性の高さが期待できる。身近な場所であれば心身の負担が小さく、望ましいが、障害者職業センターの支援は、当事者とよく調整し、合意形成を図り、無理のない範囲で行われていくものと思う。また、本市にとっては名古屋市も通勤圏であることや、そもそも復職支援は、病状が改善に向かい、職場復帰が視野に入ってきた段階で行われるものなので、地理的な問題は大きくないと思われるが、実際に利用が困難かどうかは個別の状況により判断していく。

 「本市にとって名古屋市も通勤圏」と言われるが、障害のある方が、就労を目指して通所することと、健常者が通勤することを一律に考えることが妥当とは思えないなどの課題がある。どのような見解か。

 指摘のとおり、一律に考えることが妥当ではない場合もあると考える。個別の状況をよく勘案していく。

 他自治体では、就労系の障害福祉サービスと職業センターが連携して復職支援をしているケースもよくあることであり、本市も柔軟に対応するべきであると考えるが見解は。

 障害者職業センターは、職場復帰も含めて就職を目指す障害者や雇用を検討している事業主の支援を行うところであり、その機能のひとつに、ハローワークをはじめ就労支援機関等に対し職業リハビリテーションに関する技術的事項の助言や援助がある。休職中の障害者についても、要件が認められれば、就労移行支援の利用は可能であり、その場合、事業所が必要に応じて障害者職業センターのサポートを受け、個々の利用者に応じた適切なサービスを提供していくものと考える

 「休職中の障害者についても、要件が認められれば、就労移行支援の利用は可能」と言われるが、その要件とはどのようなものか。

 要件については、国の通知により、休職者が、企業や障害者職業センター、医療機関等による復職支援の実施が見込めない、または困難な場合であること、企業及び主治医がサービスの利用が適当と判断すること、市がサービスの実施により、効果的かつ確実に復職につなげることが可能と認めること、これらを全て満たすこととされている。

 

 休職中の障がい者の方が職場復帰を目指すため、就労系福祉サービスを利用する場合「休職中の障がい者が現在の企業で復職支援が困難であり、就労移行支援(または就労継続B型)を利用することで復職することが可能となると判断していることを企業が証明する書類」また「就労移行支援を利用することで復職することが可能となると判断していることを医師が証明する書類」の提出が求められているが、それらを廃止するべきと考えるが見解を伺う。

 就労系障害福祉サービスの休職期間中の利用につきましては、条件を満たす必要がある。このことから、本市では、現在、休職中に就労移行支援の利用を希望される場合、サービスの支給決定の判断材料として、申請者に企業の証明書及び医師の意見書の提出を求めている。ただし、近隣市においては同様の書類の提出を求めていないところが多いため、申請者の負担軽減のためにも、手続書類の一部廃止を含めた簡略化について検討していく。