17日、午後、一色地域交流センター。

PFI事業の応募者による市民向け公開プレゼンテーションを傍聴しました。

もちろん今回のプレゼンが決定ではありません。

しかし、西尾市公共施設再配置計画の具体的な姿が公開される初めての機会です。

多くの方たちが来場され、満員でした。

西尾市は、平成23年度から取り組んでいる公共施設再配置の理由として以下の5点をあげています。

将来の人口動態(少子化・超高齢化)がもたらす影響→税金の減収
高度経済成長期に整備した公共施設が一斉に更新時期を迎えるため
一市三町の合併に伴い同じ機能を持つ公共施設が増加したため
公共施設の見直しを求める市民の期待←市民意識調査から
厳しい財政状況の中で「備えあれば憂いなし」の財政対策のために

その中でも、特にが今後重要になります。

そのための具体的な再配置プランとして、

平成26年3月に「西尾市公共施設再配置実施計画(2014→2018)」が策定されました。
平成26年度から30年度までの5年間に着手するプロジェクトは以下のようになります。
再配置プロジェクト01
吉良地区の多目的新生涯学習施設整備事業
再配置プロジェクト02
一色地区の新公共空間創造事業
再配置プロジェクト03
学校教育関係施設の長寿命化
再配置プロジェクト04
資料館機能(重複施設)リニューアル事業
再配置プロジェクト08
公共施設包括マネジメント事業

プロジェクト03は市内学校の長寿命化に関係し、今後大きなプロジェクトとなっていきます。

西尾市と同じく、公共施設の見直しを始めている自治体(一部)は以下のようになります。
(愛知県)岡崎市、安城市、高浜市、田原市、豊橋市、名古屋市、小牧市など
(静岡県)浜松市、焼津市など




司会進行は、西尾市公共施設再配置アドバイザーで名古屋大学大学院工学研究科准教授の恒川和久氏でした。

市長挨拶、市職員による公共施設再配置及びPFIの説明と続き、これまでの経緯やPFIの仕組みについての説明がされました。

応募者によるプレゼンテーションでは、主に「再配置プロジェクト01(吉良地区の多目的新生涯学習施設整備事業)」と「再配置プロジェクト02(一色地区の新公共空間創造事業)」の2つについての提案があり、市の示した要求水準提案に対して、要求水準案プラスαの民間企業の知恵を加えた斬新なアイデアが示されました。

今回の事業の応募者は、
45社、そのうち市内企業は36社になります。
また、その下請け企業等を合わせると、約140社の市内企業が今回の事業に参画する予定です。これだけ多くの地元企業が参画する事業は全国的にも非常に珍しいとか

費用対効果、利便性、持続性、そして将来の西尾市像を見据えたアイデア(発展の可能性)の数々には驚き、そして、西尾市にこういう志を持つ方たちがいるんだ、と心強くもなりました。

少子高齢化、生産年齢人口の減少、産業活性化、公共交通問題などなど。

応募者の説明から、西尾市を含めて、どこの自治体でも起こり始めている多種多様な問題を解決させていくための手段の一つとして、今回の西尾市公共施設再配置事業の手法があるとの印象を受けました。

例えば、一色地区には、名鉄電車が撤退したことを主な要因とする公共交通の問題があります。公共施設再配置が理想的に機能した場合、人が定住し・交流する中で、この問題への積極的な介入が可能になるかもしれません。

さまざまな要因からの負の連鎖を断つための策の一つとして西尾市公共施設再配置計画の正確な情報が広く共有され、将来への希望と今後の課題、そして何よりも、市の未来創造の「心」が多くの皆さんに芽生えていくことに期待したいと思います。

私も責任ある一議員として、この計画の展望と課題に真正面から向き合っていきたいと思います。

※「PFI(Private Finance Initiative:プライベート・ファイナンス・イニシアティブ)」とは、民間の資金と経営能力、技術力(ノウハウ)を活用し、公共施設等の設計・建設・改修・更新や維持管理・運営を行う公共事業の手法のこと。

以下、当日資料のQ&Aを掲載します。
これまで議会でも何度となく出されてきた質問もあり、多くの市民の皆さんが持つ素朴な疑問に答える形となっています。文字を大きく掲載しますので、ぜひお読みください。

Q、市は今後、PFI事業に対する市民の声を伺う機会を全く設けないのですか?
A、PFIは官民連携による公共事業の手法であり、市は、市民協働の観点から再配置を進めています。このため、優先交渉権者の企画提案は再集計ではなく、スタートラインだと考えています。そして、優先交渉権者として選定した段階、また、事業契約を締結した段階においても、市と民間事業者だけで本事業を進めるのではなく、市民の皆様の声を聴く機会をできる限り設けていきたいと考えています。

Q、市では、これからの公共事業をすべてPFI手法で対応していくということですか?
A、PFIは、公共施設再配置第1次プロジェクトの実現のために導入した手法であり、市が、これからの公共事業をすべてPFI手法で対応するということではありません。第2次再配置実施計画は、来年度から策定準備に入るため、手法については何も確定していません。また、PFI事業の契約者(特別目的会社)は、契約に定められた業務以外は、担うことができません。公共事業にはさまざまな手法がありますので、これまでと同じように、市では、業務形態や事業目的に合わせた適切な手法を選択していきます。

Q、PFI事業を担う民間事業者が倒産等に陥った場合、公共サービスが継続できなくなるのではないですか?
A、PFIに限らず市が民間事業者に業務委託する場合、その可能性はあります。ただし、PFIの場合、倒産を隔離するため、公共サービスが継続できるよう代替企業を事業者側で手配することが基本になります。さらに、PFI事業で大切なことは、民間事業者が行う公共サービスを監視(モニタリング)することです。そこで西尾市では、専門家や市民など、外部からの客観的なモニタリングの実施を検討していきます。

Q、応募者が1グループの場合、市は選定評価を行わないで、応募者との事業契約を締結するのですか?
A、選定方式が価格競争ではなく、企画評価が主となるため、1グループの応募でも問題ありません。今回は、参加要件に地元企業の優遇措置を設けたことが少数応募に大きく影響しました。なお、1グループの場合でも厳正な選定審査を行います。また、契約までは優先交渉権者であるため、契約に向けた協議の中で不調となり、契約が締結されない場合もあります。

Q、西尾市方式のPFI事業の約353億円(税込)というサービス対価予定額が、市の大きな財政負担につながりませんか?
A、本事業では、対象施設の統廃合によって、対象施設をこのまま維持し続ける場合に比べて約101億円の削減効果を見込んでいます。つまり、本事業は、新たな財政負担を作り出すのではなく、将来の財政負担を抑えながら、公共サービスを一定以上に維持しようとするものです。特に今回は、例えば水族館のような新規の公共施設の建設費ではなく、既存施設の建て替え・改修費になるため、PFIでなくても建物の安全性を確保するためには、必要な費用になります。

Q、西尾市方式のPFI事業は、5つのプロジェクトを分割発注ではなく、なぜ包括発注したのですか?
A、PFIは包括発注が可能な公共事業です。公共施設再配置を新たなまちづくりの出発点とするためには、建物(点)ではなく、地域(面)で考える必要があります。このため、地域のエリアマネジメントの視点から各プロジェクトを横断する企画提案及び資金調達が可能になり、民間事業者の創意工夫がより活用できる包括発注としました。また、分割よりも事務手続きコストが軽減されます。

Q、西尾市方式のPFI事業は最長30年間という契約期間が予定されていますが、なぜ、こんな長期契約を行うのですか?
A、PFIは長期契約が可能な公共事業です。今回の長期契約の長所は、建物の維持管理費の軽減が最大限に図られること、地元企業による安定的で柔軟な公共サービスが提供されることになります。ただし、5つのプロジェクトすべての事業期間が30年間ではありません。維持管理を行う160施設についても、準備期間の一年目を除けば、事業期間の最長29年は83施設、最短5年未満は20施設です。

以上です。

今後の予定は、

1月下旬、選定委員会による応募者のヒアリング及び選定

5月、本事業の仮契約の締結

6月、本事業の本契約の締結

となります。