短期間で終わらせる裁判員制度のため、連日、裁判の様子がニュースに流れている押尾事件ですが、見れば見るほど、何か歪なものを感じてしまいます。

弁護士は当然ついているだろうに、何故あんなことをやっているんでしょうね。

そもそも、いい歳をした大人同士が合意の上で危険な遊びをして片方が死んでしまった場合、残された方を罪に問えるかというと、これは限りなく無理です。

問えるのは道義的責任だけで、刑事責任は問えません。

今回の事件も、本来ならせいぜい「過失致死」なんだと思うのですが、なぜ「保護責任者遺棄致死」による立件に踏み切ったのかというと、やはりこれは「検察を怒らせたから」以外の何物でもないように思うのです。

「過失致死」だと、罰金30万で終わってしまうんですね。


でも押尾被告の場合、当初から、人に責任をなすりつけたり証拠隠滅を謀ったり、明らかな嘘を堂々とついたりしていたので、さすがの検察もムカついたんでしょう。

逃げた挙げ句、髪は切るわ染めるわして証拠隠滅を謀り、検察怒らせたノリピーと同じです。


今回は、有罪にするにも、そもそも罪らしい罪はないんです。
なので、検察は罪を問うより人を問う作戦に出たのかな?と思うのです。


裁判員の良心に「コイツは嘘つきで最低の男だろう?」と訴えかけているわけです。


それに対し弁護側は
「有罪にできるような証拠は何もないのだから、決して罪を認めるな」
という指示でも出しているのでしょうか…。


確かに、プロの法律家だけを相手にしていた今まではそれで良かったのかもしれませんが、一般市民が加わっている裁判員裁判では逆効果です。
裁判員の目には、どこまでも嘘をつき通す、最低の男にしか見えないのではないでしょうか。

求刑は6年ですが、ある意味これは今までだったら有り得ない数字です。


初犯なんだから、執行猶予付くんじゃないの?
と思って、ハッと気づきました。


「押尾って、最初、軽い麻薬所持だけで1度執行猶予食らってるんじゃなかったっけ?」

殺人や強盗などの凶悪犯罪以外は、基本的に初犯には執行猶予がつくのが慣例なのですが、押尾被告は所持だけで1回裁判を受けているんです。

あの時、なんでこんなに間をあけて、もう一度保護責任者遺棄なんかで立件したんだろうと思ったのですが…。

まさか…検察、確実に有罪に持っていくため、裁判員制度にかかる次期まで間をあけ、その間に微罪で執行猶予つけて「初犯」という逃げ道を潰したのか?

なんて汚い…もとい巧妙な…。




まあ、考え過ぎかもしれませんが、有り得なくはないと思います。

実際、死にかけた人間を放置して逃げてしまったとしても、最初から
「気が動転して逃げてしまった。本当に申し訳ない」
という態度でいたら、そもそも2度目の裁判はなくて済んだかもしれませんよね?


判決は大体求刑の7~8割に減るのが普通ですが、それでもこれは、驚くべき数字です。


裁判員裁判、恐るべし!
です。

でも、そもそも裁判員制度が作られたのは、こういう時のためだったんですよね?

明らかに悪党なのに、犯した罪によっては余りに軽い罪にしか問えないことも多く、判決と国民感情の乖離は以前から問題になっていました。
福岡の飲酒追突事故はまさにそうでした。

そのため、判例にがんじがらめになっているプロとは違う、一般市民の視点を入れるために裁判員制度は作られたのです。

今回の事件は、ある意味、裁判員裁判だったからここまでいったのかもしれません。

当然、態度が悪いと言うだけで、大した罪ではない人間を重罪にする危険性はありますし、反対に、犯人の演技に騙されて、想定より低い判決を下す恐れはあります。


それでも、これからは「罪を憎んで人を憎まず」「疑わしきは罰せず」だった司法の世界に裁判員制度が導入されたことにより

「嘘をついた奴、逃げるような奴は許さず!」

という風が吹くのなら。それはそれで意味があるのかもしれません。



ただ、私個人の感想を言わせてもらうなら、押尾被告は、ただ馬鹿だっただけで、殺意を持って人を殺したわけではないのです。

そして、そういった仕事をしていた被害者の女性は、クスリの危険性を、多少なりとも理解はしていたはずなのです。

なので、私個人としては、量刑は3年程度が妥当なのではないかと思います。家族を失った被害者の家族の気持ちはわかりますが、ここで6年を出してしまっては、これから先、量刑の増加に歯止めがかかりません。



押尾被告は、逃げた理由として「子供に会えなくなる」と言っていましたが、そもそも合わせる顔などなかったことには気づいていないようです。


ひたすら反省の態度を示し、芸能界復帰の道を残したのりピーと違い、もう押尾被告に芸能界復帰はないと思いますが、とにかく、被害者だけではなく、家族にも、多大な損害を与えた仕事仲間にも、そして応援してくれていたファンの方々へも、嘘偽りのない心からの謝罪をして欲しいなぁと、私はそう思う次第です。