8/29(土)の2時公演を見て参りました。
桟敷童子の稲葉さんと山本あさみさんの2人芝居です。
場所と役者は桟敷童子ですが、今回の主宰は別の方で、脚本、演出も桟敷さんではありませんでした。
なので、地下に入った瞬間、いつもと余りにも違う空間にまずビックリです。
白いステージを取り囲むようにコの字に作られた客席。
ステージの上周辺にグルリと置かれたアンティークランプ。
入った瞬間に「おお!」と思ってしまうほど、そこに広がっていたのは、いつもの成子坂劇場の空間ではありませんでした。
ここはこんなに広かったのか…。
そんな感じです。
芝居の内容も、もちろんいつもの桟敷さんのお芝居とは違います。
家族を失い、その家族に見立てたランプに囲まれi隠遁生活を送る男の元に、男の友人が「気晴らしをしろ」と娼婦を送ってくる。
やけにきっちりとした娼婦は訳ありで、いつの間にか男は、女を助けたいと考えるようになるが…。
この作品が最初に書かれたのは、今より25年ほど前の1985年のことだそうです。
そして、タイトルにもあるように、この作品のベースになっているのは、中世ヨーロッパで実在したといわれるカルト的秘密結社「薔薇十字団」です。
現代の若者がゲーム等で現実逃避をするように、当時の若者にとって、「秘密結社」を夢想するのは、それも一つの現実逃避だったのではないかと私は思うのです。
そういった意味では、現在では描かれることのなさそうな、それでいて、その当時に青春を送った人間にはいくばくかのほろ苦さを感じさせるような…そんな作品だったように思いました。
すべてを失っている男と、何も持っていないのに何かをつかもうと必死でもがく女。
全く対照的でありながら、どこか似ている2人の男女の、出会いと別れ…。
そんな切ないお話でした。