おばちゃんとファッション

今でこそ当たり前になったスカートの重ねばきですが、むかーし昔、電車の中でおばちゃんが若い女の子にこう言ってるのを目撃しました。
「あなた！スカートの下からシミーズが出てるわよ！」

おばちゃんに流行など判りません。言われた女の子は真っ赤になって言いました。

「これはファッションですっ！」

女の子はプリプリ怒って電車を降りて行きましたが、仕方ないのよお姉ちゃん。おばちゃんに流行は判らないんだから。

かくいう私もやられたことがあります。
赤系のアイメイクが流行った時のこと。ちょっとオサレしてそれを使ってみた私に、会社のおばちゃんが言いました。

「どうしたの？Ｓ田さん！目が腫れてるわよ！」

はいはい、悪うございました。私にオサレは似合いませんでした（笑）

そして、私もすっかりおばちゃんになった二年くらい前のこと。電車で座っていた私の前に大学生の女の子が二人立っていました。何気なく顔を上げてみたら
ギョッ！
片方の女の子のパンツのチャックが全開です。

しかも、そこから見えているパンツが、おばちゃんが選ぶような真っ赤（朱色に近い赤、専門用語で言うところの金赤）なパンツなのです。
注意をしなきゃ！と思った私の脳裏に、10数年前に見た光景が浮かびました。

「ちょっと待てよ…これが最近流行ってるとかいう『見せパン』とか言うやつか？いやいや…見せるならこんな真っ赤なのははかないだろう。…いや待てよ…見せるからこその、この色か？」

私は逡巡しました。

注意して怒られては割に合いません。

真ん中くらいまで下りているだけとか、上のボタンが止まっていたら「ああ、ズリ落ちてきたんだな」と判断して注意もできるのですが、チャック全開でボタンも止まっていません。Ｖ字に開いた窓から赤い三角形が見えています。

「わざとじゃなければ、よっぽどのウッカリさんじゃないか？いやいや、人間ウッカリすることはあるさ…。私に人のことは言えないよ。それに、実際の『見せパン』ってどんなのかわかんないしな…」
そうやって悩んでいるうちに、私が下りる駅についてしまいました。

スマン姉ちゃん。

私が注意しなかったばっかりに、誰かに注意されるまで、あと10人くらいの人に見られるかもしらん。

でも私には、ファッションとウッカリの区別がつかないんだもん！

でその話を会社ですると
「そんなの明らかにウッカリじゃん！またまたあ、Ｓ田さんのことだから、このまま学校まで行ったら笑える～！とか言って、わざと教えなかったんじゃないの？」
「失礼なっ！私はそこまで人悪くないよ！フレアスカートをパンツに挟んで尻丸出しで歩いてた女の子にはちゃんと注意したわよ！」
「それは当たり前だっつーの！」
ひどいです。みんなは私のことを、どんだけ人非人だと思っているのでしょう

そんなある日、チャリで私の横を通り過ぎたお姉ちゃん！明らかにお尻の割れ目が見えています！
「お姉ちゃん！それってファッション？それとも事故？」

腰穿きのパンツで前かがみになったら、尻の割れ目が見えちゃうのは当然です。

それでもいいのかお姉ちゃん！

って…みつぅのブログによると、尻が見えるリスクは計算のうちらしいですね。
ということは、これからは半ケツ見えてる人に注意してもイカンということです。半ケツはパンツよりヤバイと思うのですが、最近のファッションには、もうおばちゃんついていけません。

ねえねえ、いつから「スリムパンツ」はスキニーって言うようになったの？
もうスリムパンツって言っちゃいけないの？

スパッツはいつからレギンスって呼ぶようになったの？
スパッツとレギンスの違いってどこにあるの？

去年、イトー〇ーカドーで、スパッツの横にレギンスが並んでたんだけど、私には全く同じ商品にしか見えなかったの～
それはアレ？おばちゃんはスパッツを、お嬢さんはレギンスをお取り下さいって意味で並べて置いてあったの？

それともそのスパッツは在庫品？

それが売り切れたらこの世からスパッツは消えるの？
誰か、誰かおせ～て～