店舗物件を貸す時にたまに問題になることがあります。

某相談室にも、この内容で相談がありました。

 

それは、

「消防設備」。

 

テナントのみで消防設備が必要であれば借主負担で問題ないのですが、職種によっては建物全体に『自動火災報知設備』が必要になることがあります。

そうなると、誰がその費用を負担するかが問題になってしまうんです。

 

 

法的には「関係者が設置する」となっており、誰が設置義務を負わなければならないかはありません。 

 

貸主の費用負担義務はないとされた判例はこちらです。

https://www.retio.or.jp/case_search/pdf/retio/119-150.pdf

 

ただ、前提条件として、 

「借主は本件契約以前から障害福祉サービス事業等を営むためには消防法等を含めた種々の法規制があることを認識していたが、本件契約の交渉過程においても前記規制や設備等について協議したり、同目的での利用可能性を検討した形跡はなく、結果的に本件契約の契約書等にも前記規制や設備等に関する特段の記載はなかったことが認められる。 

 

また、本件建物全体に自動火災報知設備を設置するための費用は約500万円前後を要し、 月額賃料17万円余との比較においても相当高額であることが認められる。」 

となっています。 

 

例えば、借主が「○○を営むために借りたいのですが、消防設備は問題ないですか?」など聞いていた場合は裁判官の判断も変わって来るでしょう。

 

では、未然に防ぐにはどうしたらいいか?

①大家自身が消防知識を勉強しておく

②貸すときに、「消防署に消防設備について確認してください」と借主に説明しておく

③賃貸契約書に、「建物全体に消防設備が必要となった時には借主の責任と費用負担にて設置すること」と記載しておく

などが考えられます。

 

ご参考に。

 

~続く~