多くの離島には在宅医療をサポートできる業者がない。北海道や東北の山間部なども同様で、陸路はあるとは言え積雪期には陸の孤島となる。

奄美モデル始動
今年の夏、国内最大規模の病院グループより「離島の在宅医療を何とかできないか」と言う相談を頂いた。
当社は来たるべき医療市場の情報化に備えて、価格とサービス内容の明示化を敢行し、既にオンライン注文も受けられる体制を整えている。医療の公平性を保つべく全国統一価格にして地域格差を無くす取り組みも行っている。
だから、離島においてもやる事は同じ。6島、8病院、約100名の患者様に対して都市部で当たり前にやっている事を当たり前にさせていただいた。
ただ当たり前の仕事をしただけで島の方々からは非常に高い評価をいただけた。
僻地や離島では競争の原理が働きにくいから、契約相場が都市部の2〜3倍以上と言うことも珍しくない。だから全国統一価格にするだけで病院にとって大きなコストメリットが生まれる。
島では競争の原理が働かないから、都市部で使い古された旧タイプの製品が使われている。だから当たり前に新型の製品を届けるだけで患者様はとても喜んでくださる。特に電気代が安くなったり、停電に対応できるバッテリー内蔵タイプのPOC(携帯型酸素濃縮器)は大好評だった。
島では機器を患者様のお宅に運んだり、回収する業務は病院スタッフが行う。つまり、我々業者の業務負担は都市部と比べて格段に少なくなる。全国統一価格でお取引をさせて頂いた場合、都市部で必要となる設置、回収にかかる人件費など諸経費が不要となるから、都市部よりも収益率が高くなるのだ。
だから運送費や定期保守管理にかかる出張費、酸素ボンベの充填、各病院に常備する在庫費用を加味しても充分に成り立つし、サービスクオリティが低下する事は無い。新型の製品を躊躇なく導入できるのもそのためだ。
また今回の離島ブロック各病院は院長以下スタッフ一丸となり、既存業者から当社への切り替え作業に取り組んで下さった。また試用から本採用までの決済、行動が迅速だった事から本来計上すべき販売費をほとんど要しなかった。
だから、離島では短期間に平均3回以上の訪問サポートが可能となり、それぞれ医局、病棟、外来、訪問看護、訪問介護、リハビリ、通所施設など全てで勉強会を開催できた。更には停電に備えるサブバッテリーシステムの導入、新型携帯用酸素ボンベの統一採用など新たな付加価値の提供も実現した。
周知の通り、医療商材にかかる販売労力は膨大だから、今後オンラインショップによる受発注が主流になれば、今回の様に営業にかかる時間とコストを、具体的な質的向上に回せる様になるし、更なるサービス向上やコストダウンも可能となるだろう。
北海道(浦河・日高)モデル
離島の在宅医療をサポートさせていただくインフラの基盤となったのは言うまでもなく昨年夏に始動した浦河・日高モデルだろう。
この地域もまた、充分なサービスが行き届いていないから、医師やコメディカルが機器の設置や回収をやらざるを得ないにも関わらずコストだけは法外に高い。
ここでも当たり前の仕事を当たり前にしただけではあるが、周辺課題、例えば酸素ボンベの充填や配送にかかる課題、故障や停電への対応方などは離島におけるサービスマニュアルの基盤となった。サービスが行き届かない地域に自信を持って格差無き医療サービスを提供できる礎がここにある。
試行錯誤の連続と新たな課題
離島では正に試行錯誤の連続だった。一通り納入作業が済んだ今も、資材課、看護師とは毎日の様に電話やLINEでカンファレンスを行い常に改善を試みるスタンスでいる。
そんな中、グループ本部より新たなる課題が与えられた。
沖縄本島でのサービス提供だ。
沖縄本島は島ではあるが僻地では無い。普通に都市部と同等(に近い)サービスインフラが存在するから、離島・僻地モデルがそのまま流用できない。
市場のコスト格差はかなり大きい。これは競争原理の問題ではなく、流通網、サービス網、酸素充填などの市場インフラが寡占状態なため、自ずと仕入れコストも高くなるからだろう。どの業者も沖縄プライスにせざるを得ない状況下、当社が全国統一価格でのサービス提供を実現させるのはそう簡単な事ではないだろう。
発電機やサブバッテリーの開発、POC(携帯型酸素濃縮器)の試験導入を伴う奄美群島ならともかく、インフラが整った沖縄本島なら、代理店や従業員に仕事を一任する事も可能だ。ただ全国統一価格、医療格差の是正を実現させるためには、更なる試行錯誤とチャレンジを余儀なくされる。
凝り固まった市場に風穴を開けるのか、既存インフラと共生して行く道を模索するのか。何れにしても、理念を貫く為には通り一片の仕事ではダメだから、やはり沖縄でも自ら先頭を走り回り、試行錯誤を続けて行かなければならないのだろう。
現場に出てこそ得られる経験は貴重で、そこから生まれるる発想は机上では決して出てこない。
来年は22期目を迎えるがまだ43歳の年。20年先の市場ニーズを見据え、若い今の内にどんどん現場を踏んで行きたいと思う。




