昨年夏、UTMBとモンブラン登頂をセットで終えた帰路、ジュネーブの洒落たオープンカフェで鼻カニューラを着けた紳士を目にした。



よく見ると酸素ボンベではなく超小型の酸素濃縮器(POC)を使っているではないか。

「こんな小さいの見たことない」

聞くと僅か2kg、内臓バッテリーで3時間使えると言う。

「凄すぎる!これがあれば患者さんをチューブと言う名の鎖から解放できる!」

在宅酸素療法を始めると酸素濃縮器の設置場所からチューブが届く範囲に行動が制約される。

それまでリビングで寛ぎ、ダイニングで食事していた方も、やがて寝室にテレビを置き果ては寝室で食事を採るようになる。そしてADLがみるみる低下し、寝たきりに・・・。

そんな患者さんを何千人も見てきた。

しかしこのPOCがあれば。

元の生活と同じく、リビングやダイニングで家族と共に過ごす事ができる。トイレにも庭いじりにもそのまま持っていける。



内臓バッテリーで3時間使えるから移動する先でスマホの様に充電すれば生活に支障はないだろうし、車のシガソケットからも充電できる。



苦節?1年余り、ついにこのPOCの取り扱いに漕ぎ着けた。

まだまだ在庫が少ないからすぐに全部には行き渡らないが、営業社員全員にサンプルを持たせる準備は整った。既に予約注文もいただいている。



思えば日本の在宅酸素療法はガラパゴス化している。診療報酬に据置型酸素濃縮器加算、携帯用酸素ボンベ加算、それにデマンドバルブ加算があるからPOCの様な開発コンセプトは生まれないのだろう。



ただしPOCにも弱点はある。

昔ほどでは無いが寝室に置くにしては少し音が気になる。また日本の四季、湿度と言った環境下における故障率についてもまだまだ検証しきれていない。



そこで当社では就寝時に使う静音モデルの酸素濃縮器をセットで提供する方針を決めた。こうすれば万が一の故障時にも安心だし日本家屋でも安眠できるだろう。

いままで早目、早目に処分していた酸素濃縮器を整備してもう少し頑張ってもらう事でコスト負担もほとんど増えないようにした。そのために整備工場も作った。一手間が全てを解決してくれるのだ。

とにもかくにも、患者さんをチューブと言う鎖から解放できる!

この一点のみをモチベーションに来期は頑張って設備投資に励もうと思う。金融機関の皆様よろしくお願いいたします