退屈さについて | shingo722のブログ

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 「退屈さについて」
 
 彼女はとても退屈な女だった。いかにも高級そうなドレス、指輪、ネックレスなどのアクセサリー、それらは彼女に似合っていないとは言わないが、あくまで暫定的に選ばれたものといった印象は免れなかった。それなりのものを無難に身につけたと言ってしまえば残酷に聞こえるかも知れないが、どれを取っても彼女という存在を唯一たらしめるには至らなかった。もちろん、彼女は会話の内容も退屈だった。
「休日はデートに当てることにしているの。決まった恋人はいないわ。相手の男の年収のボーダーラインは7百万円、もちろん車を持っていることが条件ね」
 そう言って彼女は煙草を咥えたので急いで僕は火をつけた。やはり断っておかねばならないだろうが、僕はどうしようもなく彼女に惹かれていた。彼女の中の退屈性と、醸し出す気怠そうな雰囲気がどうしようもなく僕を惹きつけて離さなかった。
 退屈な会話と退屈な時間。僕たち男は彼女のために喜んで人生を浪費し、際限ない金と時間を費やすのだった。僕は自分に金も権力もない事を悔やんだ。どう足掻いても彼女は僕に手が届くような女では無いのだった。美しく退屈な女のために無駄を積み重ねること。誰が何と言おうと、我々男にとってそれが宇宙の摂理であり人生の真理なのであった。