秋の夜長 | shingo722のブログ

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 「秋の夜長」
 
 秋の夜長に様々な想いが泡沫のように浮かんでは消えていった。満たされなかった想いに胸が熱くなり、つい杯を重ねてしまったとしても、まぁ許されることであろう。和室の隅に置かれた書斎机で本を読みながら晩酌をしつつ、つい夜更かしをしてしまった。布団で眠る妻の寝顔にふと、生活の疲れをみて哀しくなった。頰のこけたその横顔から苦しみとも安堵とも寝息が漏れた。彼女は今幸せなのだろうか?最後の一杯のつもりで注いだ酒から猪口で三杯ほど多く呑んだあたりで急に酔いが回ってきた。灯りを消して妻の隣の布団に潜り込み目を閉じると、すぐに泥のような眠りが僕をとらえた。しかし眠りに落ちる刹那、先ほどの妻の寝顔が脳裏をよぎった。彼女が幸せかどうかは別として、こうして隣で眠れるうちはまだ可能性の芽は潰えていないのだ。明日を今日より少しでも良い日にしよう。そんな僅かな決意とともに、僕はついに眠りに落ちた。