親しみ | shingo722のブログ

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 「親しみ」
 
 遠くの方から誰かが大声で僕の事を呼んだ気がして振り返ると、それは僕の事では無かった。その遠くの誰かは仲の良い友人であろう遠くの誰かと親しげにふざけ合っていている様子だった。僕は何だか恥ずかしくなってそっと前に向き直った。誰かに向けられた親しみに惹き寄せられてしまったような気がして居心地が悪くなったのだ。そんなことってよくある。少なくとも僕の場合は。
 小学生の頃参加したスキー教室でリフトの順番待ちをしていたときのことだ。僕は当時から何をするにも要領が悪く、自分の順番を抜かされないようにすることに必死だった。やっと自分の順番が来たと思い、3人がけのリフトに乗り込んだところ、なぜか3人組の友達同士の間に割り込む形になってしまったらしい。
「お前ら、オレを置いていくなよ!」
 乗り込んだリフトのうしろから、男の子の呆れ返ったような声が聞こえて来た。すると僕が一緒にリフトに乗り込んでしまった隣の男の子が、
「だって乗って来ると思わんかってんもん!」
 と僕を指差しながら叫び返した。僕は消え入りたいような気持ちのままリフトが早く山頂に着くよう祈り続けていた。
 誰かに向けられた親しみに反応してしまったとき、僕はいつもそのときの居心地の悪さを思い出す。もうかれこれ20年以上も前のことだと言うのに。