「孤独」
憂鬱な雨が窓の外に降り続いている。朝7時の空はまだ薄暗く、秘密めいた予感に満ちている。僕は机に頬杖をついて、そんな外の景色を見るともなく見ている。
テレビのニュースが改めて1日の始まりを告げる頃、僕は朝食に自分で用意したハム・サンドウィッチを頬張りながら熱いコーヒーを飲んでいる。ニュースキャスターが遠くの国の戦争が佳境に入っていることを嘆いていた。僕は雨の音に閉じ込められた静かで暗い部屋で、そんな声をぼんやりと聞いていた。
やがて妻が起き出してきて慌ただしく準備を済ませると会社に向かっていった。僕はその後ろ姿を見送りながら、平日の朝から電車に揺られ雨の中を出社する彼女の心中を思いまた少し陰鬱な気持ちになった。
僕はひとり取り残された家の中でパソコンを立ち上げ、仕事に取り掛かることにした。降り続く雨の音が僕の心を僅かに乱したが、やがて僕は仕事に没頭し始めた。孤独はときに、人が集中することを後押ししてくれる。世界から取り残されたような部屋の中で、僕は一心不乱にパソコンのキーを叩き続けていた。