もしもの話 | shingo722のブログ

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 「もしもの話」
 
 いくつかのすれ違いを繰り返した末に、僕たち二人は別れる事になった。
「ねえ、もし仮にだよ」
 僕は言った。
「運命が僕たちに味方してさ…」
「よしてよ」
 彼女は僕の言葉を遮って言った。
「もしもの話なんてし出したらキリが無くなるわ」
「そうだね」
 僕は認めた。でももし仮に(そんな仮定が許されるならば)あらゆる運命が僕たちに味方して、ろくでもないすれ違いなんてものを生み出さなければ、僕たちの性格や好みはぴったりと一致していたのではないか?僕が言いたかったのはそういった事柄だった。お互いの仕事の為の時間のすれ違い、家庭の事情、そんな何やかやを取り除けば、二人の相性は見事なまでに一致していたのではないか、と。
 でもきっと、彼女が去ってしまった喫茶店で一人、向かいの椅子を眺めながら僕はため息をついて思った。そんなあらゆるすれ違いに耐えられなかったことが、僕の抱える致命的な弱さだったのではないか、それが僕の出した結論だった。もし仮に、僕があらゆる仮定を持ち出すまでも無く、彼女を引き止めることが出来たなら、二人にはもっと別の結末があったのではないのか、そう思った。もし仮に…。