「ジョギング」
朝の6時に目を覚ますと僕は服を着替えて顔を洗い、ランニングシューズを履きコースに出た。コースと言っても家の周りの走りやすい道を勝手に僕が自分のコースとして設定しただけだ。家を出てすぐの坂道を登り電車のおよそ一駅分の距離を約40分かけて往復する。
ジョギングを初めて一ヶ月ほどになるが、それまで会社に行くギリギリの時刻に目を覚ましていた頃と比べて、朝の随分違った景色を見ることが出来た。普段顔を合わせることの無かった近所の人に挨拶するようになったし、いつも決まったところで毛づくろいをしている猫にも会うようになった(僕はいつもその猫に手を振るのだが決まって無視される)。
自分の中で何かが徐々に変わり始めている気がした。今まで深酒をすることで紛らわせていた仕事や何やかやのストレスを、規則正しい睡眠と適度な運動に置き換えることによって、自分の中である種の耐性の様なものが生まれているように感じた。たとえ錯覚であったとしても、自分が日々向上しているように感じられるのは素晴らしい体験だった。日々走る事によって得られる最も大きなものの一つは、ある種の我慢強さである、そんな気がした。