飢え | shingo722のブログ

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 「飢え」
 
 深夜のニューヨークで一人の男がタクシーに乗った。若い男だ。当然のことながら彼は成功に飢えていた。ニューヨークにいる若者で成功に飢えていないものなどいるだろうか?彼は後部座席の真ん中に座るとフロントグラスを睨みつけた。まるでその先に自分の求めるものがあるかのように。彼は役者を目指しているのだろうか?あるいは歌手かも知れない。いずれにせよ、“かたぎ”の仕事でない事は見て取れた。所々穴の空いたシャツに汚らしいジャンパーを羽織って深夜の街をうろつくサラリーマンはいない。彼らは家族に囲まれて、夜10時にはぐっすり床につくのだ。
 彼はうらぶれたアパートの前でタクシーを降りると玄関を開け暗がりの中に消えて行った。さっきまでいた煌びやかな夜のニューヨークの街とはあまりにもかけ離れた闇の中へ。その闇の中で、彼の求める光が手に入るまでじっとその牙を研ぐのだった。