「退屈」
新郎の上司のスピーチは長々と続いていた。僕はもう何度目かの欠伸を噛み殺しながらそれを眺めていた。
「もう少しコンパクトにまとめられなかったものかね」
僕は傍らの妻に小声で言った。
「黙って聞いてなさいよ」
「もう10分は喋ってるんじゃないかな」
チラリと時計を見ると彼が喋り始めて5分程が経過していた。
「花嫁の友人たちの出し物はてんとう虫のサンバに決まりだよ。それかハンドベルだ。たいがい1人ぐらいハンドベルを忘れた娘がいて泣き出すぜ」
「ねぇ、うるさいったら」
妻が僕を睨みつけて言った。
「退屈なんだよ」
僕は言い訳するように呟いた。
「しっかり式の様子を見ておきなさいよ」
妻は言った。ちなみに僕たちは結婚したもののまだ式を挙げていない。
「私たちはどうすれば参加者を退屈させないかしっかり考えてちょうだいね」
にわかに緊張で目が冴えてきた。