迷宮 | shingo722のブログ

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 「迷宮」
 
 蓄積された疲労は際限なく身体を蝕み続けていた。洞窟の壁はいつの間にか人工的な壁に姿を変え、迷宮の奥へと僕を誘っているようだった。
「ねぇ」
 僕は前に立って僕を導きながら歩く少女に声を掛けた。
「一体いつまで続くのかな、この迷宮は」
「続くところまで続くのよ」
 彼女は言った。
「それはあなたの心によってその長さと複雑さといった形を変えるの。それだけあなたの心が入り組んでいるということね」
 僕は自分の心がそんなに複雑に入り組んでいるとも思えなかったが、黙って彼女の言葉に従って歩き続けていた。何かを考えるにはあまりに心身が疲弊し切っていた。そして迷宮はまたいつの間にか果てしなく続く螺旋階段へと姿を変えていた。
 一体僕はなぜ洞窟の中になんか入ったのだろう?そして僕の前を歩くこの少女は誰なんだろう?ここへ来る途中の記憶がスッポリと抜け落ちている。確か僕は昆虫の研究をしていて山に入って、たまたま洞窟を見つけて…だめだ、思い出せない。
「ほら、もっと速く歩くのよ」
 少女は言った。
「あなたがあなた自身を見つけるまで歩き続けるの、もっと速く、もっと奥まで」