看板娘 | shingo722のブログ

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 「看板娘」
 
 チャイナドレスの似合うあの娘は、今日も元気に働いている。スリットから覗く脚がとてもキュートだ。彼女は街中の寂れた中華飯店の看板娘だ。60歳を過ぎた親父さんがもう店を畳もうとしていたのを頑張って盛り立てようと言い出したのも彼女だった。二十歳になったばかりだった彼女は、親父さんと病気で亡くなったお袋さんがトシいってからの子で、ずいぶん可愛がって育てられた割に、とてもしっかりしている。昼飯どきに通って来るサラリーマンからの人気も上々だ。学生の何人かから告白されてデートの誘いを受けたことがあるとも聞いている。なかなか人気があるのだ。
 だから僕みたいな冴えない大学生が、彼女にこっそり目を掛けて貰っていたなんて誰も思いもしない。僕が店に行くたびに彼女が親父さんに言ってこっそりおまけをしてくれている事を誰も知らない。炒飯を余計に盛り付けてくれたり、エビチリを多めに入れてくれたりとか、そういったことだ。そういうのって、控え目に言ってすごく嬉しい。
 ある日、こっそり彼女に聞いてみたことがある。
「どうして僕なんかにそんなに良くしてくれるの?」
 すると彼女はにっこり笑って答えた。
「だってあなたってすごくチャーミングよ」
 女の子の考えることってよくわからない。
 今でも僕は足しげくその中華飯店に通っている。もうとっくに大学を卒業して、会社に入って部長になった今でも。お互いすっかり歳をとって、それぞれに別の相手と結婚したし、もう彼女の親父さんは店を弟子に譲ってゆったり隠居しているけれど、相変わらず彼女はチャーミングだと思う。街の人気中華飯店で、相変わらず彼女は僕の中で看板娘であり続けている。