かわぞうの小説集「官能小説・ひとりごと・etc」 -6ページ目

「ソープの女~美沙~」八

「ああ!?うるっせえな!」



美沙の怒声が狭い部屋中に響き渡る。



とうとうキレてしまった。が、もちろん初めてではない。この店に来て何度目だろう。もうキレることにも慣れてしまって、胸が高鳴ることもない。



客は美沙の剣幕に圧倒されたのか、唖然とした顔でものも言えず、ただ黙って美沙の顔を見ている。よほど意外だったのだろうか。



(馬鹿ヅラしやがって…。)



客の顔を見ているうちに美沙のイライラはさらに募り、その間抜けな横っ面に蹴りを喰らわしてやりたい気分になったが、さすがにそこまではできず、美沙は勢いと憤懣を自身の中で持て余す。



張り詰めた空気の中で沈黙がしばらく流れた後、美沙が口を開いた。



「早くしないと時間なくなっちゃうよ。おとなしくそこに寝なって。」



ごちゃごちゃ言うな、と。全てアタシに任せときゃいいんだよ、と。そんなメッセージを込めて客に言った。



「ああ…。」



と客がかすれた声で言い、呆然としながらも美沙の指示に従ってベッドに横になった。



(最初から素直にしときゃよかったんだよ…。)



美沙は心の中で呟き、横たわった客の脚を広げ、その間に膝をつく。



見ると、客のモノは美沙に恫喝されたせいか、フニャフニャになっていた。こんなにもフニャフニャになるものかと思うくらいに。



「プッ。」



美沙は思わず噴き出してしまった。



(滑稽…腐ったホルモンみたい。)



客は顔に「?」マークをつけて美沙を見ている。さっき怒っていたのが急に噴き出したから、奇妙に思ったのだろう。



(おっと、仕事仕事…。)



美沙は口元に手を当て、咳払いをして気を取り直す。色事に滑稽感は邪魔にしかならない。



客の股間に顔を近づけ、舌を出し、モノの根元から舐め始める。



さっき湯船の中でしたのと同じ要領で客のモノを愛撫していくのだが、反応が鈍い。腐ったホルモン状態は何とか脱したのだが、そこからは平行線をたどってしまって、本番に行くにはまだまだ硬さが足りない。



(このままじゃ拉致があかないな…。)



少し焦る。美沙は一応プロとして働いているという自負を持っているので、時間内に客をイかせられないのは沽券に関わってくる。



(しょうがないな…。)



いつもは面倒臭いし、なんとなく嫌なのでやらないのだが、玉を舐めてやることにした。客のモノからだらしなくぶら下がっているそこに舌を這わせる。



さらに手でモノをさすってやる。



しばらくその動作を続けていると、客の息づかいが徐々に荒くなってきた。