かわぞうの小説集「官能小説・ひとりごと・etc」 -255ページ目

官能小説「放課後の夜」十二

「 おやすみな~ってすぐに寝るかはわかんねえけど。 」

達也が部屋の照明を消した。時刻は日付が変わって一時半、二人はようやく寝床に就いた。「眠い」と達也が思わずこぼして「じゃ寝るか」と良雄が言ったのをきっかけに「お前が眠いならいいよ」「いやお前が眠いんだろ?」「俺はどっちでもいいけど」「俺もどっちでもいいけど」「眠くないんだ?」「まあどっちでもないかな」「どうする?」「お前が決めていいよ」と第三者から見ればイライラするような掛け合いの末に、であった。

良雄は泊まるつもりはなかったのだが、例のDVDを観たあと二人でゲームをしたり、他愛もない話をしたりしているうちに晩飯が食べたくなり、さあそろそろ帰るかと良雄が腰を上げようとしたところへ達也が待ったをかけたのだった。

達也は一人では寂しかったのだろう。良雄もまあいいかとなって、あとは良雄の親の反応次第だったのだが、どういうわけか達也は良雄が親に電話する時も挨拶させろとうるさい。変なヤツだと思いながら替わってやると、別人のようにやたらと腰が低くなって、「はい、すいません、良雄くんと、もう少し一緒に勉強したいと思いまして、はい、晩飯はこっちで用意できてますんで、なんとか、はい、よろしくお願いします。」などと、かえって親に何をしているのか怪しまれるんじゃないかとヒヤヒヤする始末であった。

ともあれ親の承諾も得て、何事もなく寝床に就いた二人だったが、消灯して暗くなってもすぐには眠れない。またこういう状況での静かな語り合いも、このぐらいの年頃の少年にとっては楽しいものである。

布団は別々ながらも二人並んで寝て、友達の噂話、ゲームの話、自分達の将来の話など、とりとめのない話が、とりとめもなく流れていく。

すると、達也がいきなり核心をつくような質問をぶつけてきた。

「 良雄、お前、竹村のことはどう思ってんの? 」

竹村涼子。同じクラスで、半年くらい前から良雄といい仲なのではないかと噂になっていた女の子だ。実際何もないし、つきあってないし、たまに会ってデートしているわけでもないことを良雄の友達は皆知っているのだが、達也に言わせると、

「 前にも言ったけどさ、多分、竹村はお前のこと好きだったんだよ。噂がたってからお前が冷たくしたから近付かなくなったけどさ。 」

ということらしい。

「 そんなことねえよ。 」

良雄は照れて否定してみせる。

「 いや、お前自身はどう思ってんの? 」

達也が食い下がって聞いてくる。追い込まれた形で良雄は一瞬竹村涼子のことを考えたが、やはり恋愛対象として見るのは難しい。理由は自分でもよくわからないのだが、何度考えても無理なようだった。

「 ないね、竹村は。本当だよ。 」

良雄が言うと、すかさず達也が質問をかぶせてきた。

「 じゃあお前、誰か他に好きな女いねえのかよ? 」

そう聞かれて良雄は狼狽えた。言下にある女の顔を思い浮かべたからだった。

それは奈津子の顔だった。