かわぞうの小説集「官能小説・ひとりごと・etc」 -253ページ目

官能小説「放課後の夜」十四

ゆっくりと、音をたてないように。ノブをひねっておいてからドアを閉め、一階に下りる階段へ向かう。

真っ暗闇の中、手摺りにしっかりと掴まり、一段一段、片足を恐る恐る出して探り当てながら下りていく。もどかしく思ったが特に問題なく一階に着いた。

なおも慎重に足を運んで居間に入る。ここは一面ガラス戸に障子で、月明かりに照らされているから少しは明るいが、何も気にしないで歩けるほどではない。油断は禁物だ。まず手でテーブルの位置を確認する。足をぶつけないようにしなければならない。

照明は点けないほうが無難だが、このままだとテレビの電源を点けることさえも困難だ。何かそこらに転がってるものを踏んづけないか気が気でないし、仕方ない、あのDVDを再生するまでは照明を点けることにしよう。

良雄は空中に手を伸ばして天井の照明のヒモを探り当て、引っ張った。急な明るさに目が眩む。が、ゆっくりしているヒマはない。テレビの前に座り、床に転がっていたチャンネルを手に持って構える。電源を入れたら音が響くだろうから、すぐに消音ボタンを押さなければならない。緊張する場面だ。

電源を入れた。プツッと鳴って真夜中の砂嵐が画面に現れたと同時に思いっきり消音ボタンを押す。音が漏れたのはほんの一瞬だった。大丈夫だろう。

次にあのDVDを再生させる。思っていたとおり、あの時に見終わってスイッチを切ってそのままだったので手間はかからなかった。

それから、そう、ティッシュだ。テーブルの上に置いてあるティッシュを何枚もむしり取って丸め、よし、これでもういいだろう。

立ち上がって照明を消し、再び真っ暗闇の中で、良雄はズボンとパンツを下ろしてテレビの前に座った。

頭の中に達也の顔が、奈津子の顔が浮かんだ。が、やがて白い画面に「真昼の情事」のタイトルを見つけると、良雄は全てを振り払って目の前の快楽の渦へと向かっていった。