かわぞうの小説集「官能小説・ひとりごと・etc」 -250ページ目

官能小説「放課後の夜」十六

ずいぶん、長いことこの時を待っていたような気がする。

週またぎの三日ぶりで会う奈津子は、しゃんとして教壇に立ち、良雄から見ればこの前よりも一層艶めき輝いていた。

肩口まで伸びた艶やかな黒い髪に、白いワンピースは少し胸元が開いていて、丈はちょうど膝が見えるくらい。そしてその上に黒いカーディガンを羽織っている。それにネックレスも…今までかけてきたことがあっただろうか?とにかくそれは地味すぎず派手すぎずに首にかかっていて、今日の服装によく合っている。靴は、これも真っ白なパンプスに小さな白いリボンをあしらったシンプルなものだ。

「 じゃあ今日もこないだみたいに問題を書いたプリント配りますから、わからないところあったら手を挙げて私を呼んで下さいね。 」

奈津子はそう言うと、プリントを一番前の席の生徒達に配り始めた。前から後ろへ、順々にプリントが回っていく。

最初の何問かは難なく解くことが出来たが、その先は一応答えは出しても自信が持てず、頭がくしゃくしゃした。あ~面倒臭い。と、その時、奈津子が良雄の列の前のほうからこっちに向かってゆっくり歩いてきた。

ドクン。胸が高鳴る。

まずい、絶対に気持ちを悟られてはならない。良雄は狼狽を隠すために下を向き、問題に集中しているフリをする。

それでも奈津子が一歩ずつ近づいてくるのを感じると、もうそっちの方が気になってしょうがない。

(畜生!先生の今日のあの姿を、近くでじっくり見たい!)

顔は下を向いたままだが、油断すると視線がすぐに前を向いてしまう。

意識をどちらにも集中させることができず焦っていると、奈津子のあの美しい脚がスッと良雄の視界に入ってきた。

「 波川くん、どう?問題は難しい? 」

奈津子は良雄の席の真横に立つと、からかうように話しかけてきた。

良雄は「はい?」と応じるふりをしたものの、奈津子とちゃんと目を合わせることができない。まずい、ダメだ。両脇からイヤな汗が湧いてくる。けれどもその一方で、良雄は意味のわからない期待とときめきを感じながら、精一杯平静を装って奈津子の次の言葉を待っていた。