かわぞうの小説集「官能小説・ひとりごと・etc」 -177ページ目

鳥居強右衛門

1575年。

徳川軍500名ほどが籠もる長篠城(今の愛知県)に武田信玄の跡を継いだ武田勝頼の大軍が迫り、取り囲みました。

衆寡敵せず、何度か戦う中で徳川軍は兵糧をも失いかけ、落城寸前になってしまいます。

信長さまの援軍は来ないのか…?

当時、信長と家康は同盟関係にあり、援軍が来るという話があったのです。

そこで、徳川軍は一人の兵士を城から出すことにします。

その名は鳥居強右衛門。単なる雑兵であった彼は泳ぎを得意とし、夜の闇に紛れて川に入り、武田軍の囲みの外にバレずに抜け出します。(裸にふんどし一枚で)

近くの山で烽火(城内に無事を知らせる煙)を上げると、城内の兵士から大歓声が起こりました。

そして強右衛門は急いで岡崎城(これも愛知県)に行くと、信長自ら率いる援軍がもうすぐ来ることを確認してから喜び勇んで引き返し、もう一度援軍が来ることを知らせる烽火を上げます。

城内からまた大歓声が起こったのは言うまでもありません。

しかしそれでおかしいと思った武田軍は警戒を強め、やがて城内に秘かに入ろうとした強右衛門はついに捕らえられてしまいました。

援軍が来ることを知った武田勝頼は戦慄し、早く長篠城を落とさなければこちらが危ないと思い、強右衛門に援軍は来ないと城内の兵士たちに向かって叫べと命じます。

援軍が来ないと思えば、絶望して落城するのは目に見えていたからです。

それを実行すればお前と城内の兵士たちの命は助けると約束して。

強右衛門は承諾します。

城内の兵士たちが固唾を飲んで見つめる中に引き出される強右衛門。

さあ言え。武田軍が背中を押すと…

「 みんなあ~!!安心しろお~!!もうすぐ信長さまの援軍がやって来るぞお~!! 」

強右衛門が思い切り叫びました。

涙を流しながら大歓声を上げる城内の兵士たち。

その直後、強右衛門は武田軍に殺されました。

強右衛門の雄姿に感動した兵士が、その瞬間を絵に描いて残しました。(現存している)

その兵士は、なんと武田軍に所属していた者でした。

強右衛門の子孫は後で厚遇され、今も血筋は継続しているそうです。