かわぞうの小説集「官能小説・ひとりごと・etc」 -156ページ目

官能小説「放課後の夜」四十八

そのまた次の日、奈津子の、数学の授業があった。

奈津子はいつもと同じように、まるで良雄の存在など知らないかのように授業を始めた。

そして、いつもと同じように授業を終えて帰ってゆくのであろう。

(今日こそは…。)

良雄は小さな決意を固めると、一枚メモ用紙を取り出し、授業を続ける奈津子をチラチラ見ながら、そこにメッセージを書き始めた。

書き終え、良雄はため息をつく。

メモの内容は、つまり奈津子を外へ誘うものだった。

学校の中では、話すだけでも他の目が気になってしまう。

達也といい、涼子といい…。

今のところ、奈津子とのことについて変な噂は立っていないようだった。

涼子はあの時、かなり怪しんでいたが、まだ黙っているのだろう。

が、それが不気味でもある。勝手な話だが、腹立たしくもある。なんだか大きな借りを作ってしまったような気がしたのだ。

(このメモは…先生が教室を出たところで渡そう。)

もちろん、誰かに見られる可能性はあるが、他にタイミングがないから仕方ない。

不安は、飲み込むことにした。

(もう、これ以上このままの状態が続くのは絶えられない。自分で打破するしかないんだ!)

自分でメッセージを書いたメモ用紙を穴があくほど見つめ、また大きなため息をつく。

授業の終わりを告げるチャイムが鳴った。

良雄は立ち上がり、早足で後ろの出入り口から教室を出る。前の出入り口から奈津子が教室を出てきた。



目が合った。



ドキッとしたが、躊躇っているヒマはない。

良雄は奈津子に駆け寄ると、用意しておいたメモ用紙を渡した。