田中優の“持続する志”第217号:「福島第一原発事故から2年後の社会構造」2013年4月12日 | 放射能から子どもを守る『心援隊』のブログ

田中優の“持続する志”第217号:「福島第一原発事故から2年後の社会構造」2013年4月12日

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田中優の“持続する志”

優さんメルマガ 第217号
2013.4.12発行

※このメルマガは転送転載、大歓迎です。
http://www.mag2.com/m/0000251633.html

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Contents
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1.田中優より 「福島第一原発事故から2年後の社会構造」

2.全国のNPOバンクについて

3.4/14(日)田中優×小出裕章さん×岩上安身さんらが大集合!

4. 今月の講演会情報

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□◆ 田中 優 より ◇■□■□


『 福島第一原発事故から2年後の社会構造 』


◆ 消されつつある原発事故

 テレビがないのでよくわからないが、伝え聞くところによればメディアは放射能の
危険性を「風評被害」と断定しているそうだ。事故前、原発に反対する多くの人が
「日本はきっと大きな事故でもなければ目覚めない」と言っていたことを思い出す。
しかし大きな事故が起こった結果は「それでも目覚めない」だったようだ。

 今なお汚染された土地に多くの人たちが暮らし、百万人に一人か二人しか発生し
ない小児甲状腺がんが、細胞診を含め3万8千人に10人に発生しても、放射能のせ
いではないと言ってのける。福島県は、肝心な事故時の放射能データを上書きして
失わせた。

 原発事故は津波ではなく、地震で起きていた可能性が高いのに、東電は調査委員
会の人たちを「真っ暗で危険で入れない」とウソを言って調査させず、政府は2年
も経ってから放射能をベントで放出する前に周囲に放射能が漏れていたことを発表
した。

 注意深く見ている人以外は気付かないだろう。ここには作為的なコントロールが
ある。事故前、「放射能は危険だが、原発には五重の防護があるから安全だ」とし
ていた。

 しかし事故後は「放射能は言われるほど危険ではない」と変えられてしまった。
放射能が危険でなくなれば、なぜ原発を怖がる必要があるのか。こうして原発事故
は「大惨事」から「怖がりすぎる人のノイローゼ問題」にされてしまった。



◆ 原子力独裁

 福島県はせっかく避難した人々を呼び戻すために補償金を打ち切ったり、市町村が
学校給食に福島県産の食材を使ったら補助金を支給しようとしている。もちろんゼロ
ベクレルなら問題ないが、日本政府の基準をクリアしても何の保証にもなりはしない。

 上に述べた甲状腺がんを放射能と無関係と公表した御用学者たちを雇っているのも
県立の医科大学だ。

 この「福島県」を「チェルノブイリ」と入れ替えると異常さが浮き彫りになる。

「チェルノブイリで健康マラソンが行われ、全国から高校生が集まった」、
「食べて支えようチェルノブイリ運動が広げられ、他地域の人たちもチェルノブイリ
の食材を食べるようにした」、
「チェルノブイリの高汚染地域で花火祭りが行われ、人々は復興を誓った」と。

 汚染レベルは被害の出ているチェルノブイリ高汚染地域と変わりがないのだ。

 人々の多くは原発を廃炉にすべきと考えているが、政府は原発再稼動をめざして
原子力ムラ出身者の集まる「規制委員会」の基準に対してすら、厳しすぎると批判
している。津波対策は怪しげながら、少しは改善されるだろう。

 しかし原発事故が地震によるものだったらどうなるか。しかしそれでも原子力ムラ
の意向に沿って再稼動されようとしている。こうした判断は、常人には理解しがたい
ものではないだろうか。


 原発は発電していなくてもおカネがかかる。だいたい100億円/年程度だ。湯水の
如くカネのかかる福島第一を除いても、50基の原発で5000億円だ。再処理工場も維持
費だけで年間1100億円、高速増殖炉もんじゅも200億円。合計毎年6300億円のカネが、
発電すらしない原発関連に消えていく。その金額は石油ガスなどの燃料費増加分に
匹敵する。

 原発の存在が電気料金を高くしているのだ。だから電力会社は再稼動したがり、
政府は補助金を流す。安倍首相は3月8日、「3年でできる限り再生可能エネルギー、
技術革新を促すために国家資源を投入し、原子力の代替エネルギーにしていく」と
述べた。原発推進の首相にしては奇妙な発言だ。



◆ おカネに滅びるのか

 しかし調べていくと実態は以下のようになっている。太陽光発電の増加は家庭の
売電メーターは回しているものの、近くに電力消費がなければロスでほぼ消えてし
まう。同じトランスからの電気を共有しているのはわずか4-5軒だ。しかし家庭
の消費パターンはほぼ同じだから、発電する日中の電気はほとんど使われずにロス
される。

 しかしそれでも売電用のメーターは回しているから高く買い取られる。しかも
電力会社がその費用を負担しているのではない。「再エネ賦課金」として他の消費
者から取られているのだ。

 東京都や国はバッテリーに補助金を出そうとしているが、残念ながらそれは電力
会社から独立するためではなく、深夜の余剰電力を受けるためだ。深夜に電気が余る
なら発電しなければいい。しかし原発だけは深夜だからといって弱火にはできない
のだ。だからバッテリーに補助する。深夜の電気を使おうとする電気自動車も同じだ。

 どちらも原子力を温存してしまう仕組みになっている。これは人々におこぼれを
与えて黙らせる仕組みだ。

 構造的に捉えると、原子力が起こした災害をきっかけにして、これまで一部の原子
力ムラの人々だけの利益にしていたものを、社会全体を原子力ムラにすることで解決
しようとしているように見える。

 原発はその負の遺産を、後の世代の子どもたちと過疎と呼ばれる地方に押しつける
ことで成り立ってきた。しかし過疎地は原子力ムラの末端としてわずかな利益を得る
ことでムラの協力者となった。それと同じだ。

 これまでは「原子炉メーカー、鉄鋼、ゼネコン、化学業界、大学、マスメディア」
など、一部の原子力ムラの人々だけが利益を得る仕組みだった。それをもっと広く、
反対者にも利益を与えればいい。自然エネルギーでもバッテリーでも電気自動車でも、
原発を止めるには役立たないように牙を抜いて与えればいいのだ。後でこう言えば
いい。

「自然エネルギーを伸ばしたが、それでも原発を止めるには至らなかった」と。

 この構造は戦時中、社会全体が戦争に傾き、反対者は異端として排除されたことに
似ている。戦争の利益が多くの人に回る仕組みになっていたから、反対者は利益を
失わせる存在に見えたのだ。

 本当なら自然エネルギーやバッテリー、電気自動車には社会を変えるだけの力が
ある。わずかなおこぼれを得て牙を抜かれるのではなく、後の世代の子どもたちの
ために生かしていく努力をしよう。


(※ 川崎市職員労働組合様へ寄稿したものを、好意を得て転載しています。)


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 ◆全国のNPOバンクについて ◆

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1994年、日本で初めてNPOバンクを田中優を含めた数名で作りました。

それをきっかけに全国各地で現地の人たちが自発的に作り始め、19年経った今では
ミスチル桜井さん・小林武史さん、坂本龍一さんらが作った「ap bank」を始め続々
と誕生しています。


それらをネットワークでつないています「全国NPOバンク連絡会(代表 田中優)」
のサイトです。
全国NPOバンク連絡会 ⇒ http://npobank.net/


「お金の流れを変えないと社会は変わらない」と、“ナナメの方向”から解決策を
考えてできたバンクです。皆様の出資で支えられています。


★NPOバンクとは
 市民が自発的に出資した資金により、地域社会や福祉、環境保全のための活動を
 行うNPOや個人などに融資することを目的に設立された「市民の非営利バンク」
 のことです。



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 ◆4/14(日) 田中優×小出裕章さん×岩上安身さんらが大集合! ◆

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■ 日時 4月14日(日)9:00~16:30
■ 会場 丸亀市綾歌総合文化会館 アイレックス
     香川県丸亀市綾歌町栗熊西1680 http://goo.gl/maps/6Hf5u
■ 入場料 無料  ※ 大ホールでの講演&パネルディスカッションのみ有料

★ 田中優出演予定 ★
大ホール 10:00~11:20  田中優講演
小ホール 14:10~15:10  田中優&岩上安身さんトークライブ
大ホール 15:20~16:20  ゲスト総出のパネルディスカッション


◆ 大ホールでは
出入自由、小出裕章 × 田中優 × 岩上安身 3人の各講演+ゲスト総出の
パネルディスカッションがまるごとで
前売チケット 1,500円 (当日2,000円)


◆小ホールは無料です
・フォトグラファー亀山のののこさんによる、
 「100人の母たち」写真展&トークライブ

・オーガニックガーディナー曳地善治&トシご夫婦による映画「シェーナウの想い」
 上映と「原発をやめる100の理由」出版記念トークライブ

・<小出裕章×岩上安身><田中優×岩上安身>ユニットのキッズミーティング
 ※ 講師に質問したい子どもたち募集中です。
   お申し込みは mukhayuan@matsumishika.jpまでご連絡ください


◆ おおとりは、「フライングダッチマン」のライブもあります。

◆ 問い合わせ 事務局 090-5141-0535 (荻田)

◆ HPから詳しい内容、タイムテーブルなどをチェック!
  http://20130414.web.fc2.com/



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 ◇■今月の講演会情報 ■◇

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4月14日(日)香川・丸亀市 「オーガニックフェスタ四国」
   21日(日)宮城・仙台市 「心が豊かになる暮らしづくりセミナー」
   22日(月)東京・新宿  「天然住宅バンクミーティング」
   28日(日)愛知・名古屋 「未来の当たり前プロジェクト」
   29日(祝)東京・池袋  「白駒妃登美さん、てんつくマンとコラボ」


詳細・今後の講演会情報は公式HPよりご覧ください
⇒ http://www.tanakayu.com/


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⇒ http://www.tanakayu.com/form/contact.html


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