『衝撃を受けた映画・・・「世界一キライなあなたに」について思うこと』 | 新堂冬樹オフィシャルブログ「―白と黒―」Powered by Ameba

『衝撃を受けた映画・・・「世界一キライなあなたに」について思うこと』

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まず最初に、ネタバレなのでこの記事を読むときは
 
気をつけてほしい。
 
 
 
本作品は、自殺幇助、安楽死をテーマにした問題作だ。
 
映画として面白い、面白くないを超越した・・・軽々しく語れない作品だ。
 
観終わったあと、しばらく放心状態になってしまった。
 
優しい気持ち、暗い気持ち、哀しい気持ち、複雑な気持ち、
 
やるせない気持ち・・・いろんな感情がない交ぜになり、
 
人生について考えさせられてしまった。
 
このストーリー自体は実話ではないが、原作者の話によれば、
 
ほぼ全身麻痺になった英国の元ラグビー選手がスイスの
 
自殺幇助機関「ディグニタス」で、安楽死を希望し、
 
両親の許可のもと命を絶った・・・という実話をモチーフにして
 
書いたそうだ。
 
医師が作成した診断記録をスイスの裁判所が許可したら、
 
希望者に自殺幇助を提供する。
 
もちろん、最終的な実行に至るまでに、
 
医師やカウンセラーと複数回の面談を行い、
 
気が変わることを考慮して、面談と面談の間を
 
長く取り、クールダウンのチャンスを与える。
 
致死薬投与の直前には、最終の意思確認が行われ、
 
考え直す時間が必要か尋ねられ、最後まで自由意志で
 
撤回も選択できるようにされている。
 
こんなテーマを小説と映画にしたのは、いろんな意味で
 
勇気が必要だったことだろう。
 
そんな中、ヒロインを見事に演じたのが、エミリア・クラークだ。
 
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テレビドラマを中心に活躍していた女優だが、
 
彼女の「裏表のない馬鹿正直すぎる純粋な女の子」という
 
キャラクターが、これ以上ないほどに嵌っていた。
 
まさに、嵌り役だ。
 
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決して美人でもなく、モデル並みのスタイルでもなく、
 
極々平凡な女性だが、エミリアの全身から発散される
 
人間力は半端ではない。
 
監督は、よくぞ彼女をヒロインにしたものだ。
 
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そして、「あと一センチの恋」でもいい味を出していたサム・クラフリン
 
も、自殺幇助を希望するという難しい役どころを見事に演じ切った。
 
年間400~500本の映画を観る俺にとって、ある意味、
 
「一番考えさせられた映画」とだけ言っておこう。
 
 
~解説~
 
英作家ジョジョ・モイーズが2012年に発表し、
世界40カ国以上で翻訳されベストセラーとなった恋愛小説
「ミー・ビフォア・ユー きみと選んだ明日」を、
「ゲーム・オブ・スローンズ」「ターミネーター:新起動 ジェニシス」
のエミリア・クラーク&「あと1センチの恋」のサム・クラフリンの共演で
映画化。性格は前向きなだが、夢にチャレンジすることに躊躇し、
仕事を転々としながら、なんとなく毎日を過ごしているルー。
彼女の働いていたカフェが閉店してしまい、
職を失ったルーは半年限定で介護の仕事に就く。
ルーが担当することになったのは、快活でスポーツ好きだったが、
バイクの事故で車椅子生活を送ることとなった
青年実業家のウィルだった。
当初、ウィルはルーに冷たく当たるが、
ルーの明るさがウィルの心を溶かし、
やがて2人は互いに最愛の存在となっていく。
監督は本作で長編映画デビューとなる
イギリスの舞台演出家テア・シャロック。