『「日本最強馬」オルフェーブル、「世界最強馬」の前に散る!』
第1回開催の1920年から90年以上、
地元フランス調教馬以外は優勝したことのない
世界最高峰のG1『凱旋門賞』。
『凱旋門賞』を勝つことは世界中のホースマンの夢であり、
もちろん、日本の競馬関係者の悲願でもある。
日本現役最強馬のオルフェーブルが去年、後方から一気に
突き抜け、あと五十メートルで「夢」を叶える寸前、伏兵の
人気薄のフランス馬ソレミアに敗れた。
去年の悔しさをバネに、さあ、今年こそ!
の意気込みでオルフェーブルはふたたびフランスの
ロンシャン競馬場に立った。
前哨戦の『フォワ賞』を圧勝したオルフェーブルは、
世界の強豪を差し置き一番人気だ。
そして今回はもう一頭、今年の日本ダービー馬の
キズナも出走していた。
日本を代表するツートップの出馬に、90年ぶりに
歴史の「重い扉」が開くかと思われた。
とくに、オルフェーブルの勝利は誰もが疑わなかった。
ところが・・・。
折り合いもつき比較的スムーズにレースを運んでいた
赤い帽子のオルフェーブルが最後の直線を迎えた。
間違いなく突き抜ける!
歴史の証人になれると思った。
しかし、ひと足先に抜け出した四戦無敗のフランス最強馬トレヴ
が物凄い脚で差を広げてゆく。
オルフェーブルがいくら追っても
距離は縮まらずに最後は五馬身差で二着に敗れた。
今年は世界最高レベルが集まったと言われ、その中で
去年に続き二着なのだからオルフェーブルは称えられてもいいくらいだ。
だが、「日本最強の怪物ホース」が「世界最強」の称号をゲットすると
信じて疑わなかった関係者とファンはガックリと肩を落とす。
世界にはとんでもなく強い馬がいる。
年内で引退が濃厚のオルフェーブルの果たせなかった「夢」の
続きを、後輩馬が必ず叶えてくれると信じている。