『伝説の名優・ロバート・デ・ニーロ』
俺は、滅多なことでは人を尊敬しない。
だが、彼だけは別だ。
オスカーを二度も受賞した、ロバート・デ・ニーロだ。
名優と呼ばれるハリウッドスターは数多く、
最近ではジョニー・デップなどが有名だが、
デ・ニーロに比べれば、まだまだプロ野球の選手と
大学野球の選手くらいの開きがある。
デ・ニーロがなぜに「名優」と呼ばれるようになったかと
言えば、それは、狂気とも言える徹底した役作りにある。
ここで、その一例を紹介しよう。
イタリア語を完璧にマスターしたあとに、彼が演じる若い頃の
マーロン・ブランドのしゃがれ声を完璧に模写した。
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○『タクシードライバー』では、三週間、ニューヨークで
タクシーの運転手として働いた。
○『ディア・ハンター』では、物語の舞台となったピッツバーグに
撮影数ヶ月前から偽名で暮らしていた。
さらに、役柄同様鉄工所で働こうとしたが、現地の人間に拒否された
という。
○『レイジング・ブル』では、引退後のボクサーの
太った姿を演じるために、イタリアに赴きパスタ料理を食べまくって
体重を20キロも増やして撮影に挑んだ。
○『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』
では、ユダヤ人の主人公になりきるために、ユダヤ人の
家庭にホームステイした。
○『アンタッチャブル』では、実際に頭髪を抜いて、
マフィアの大ボス、アル・カポネを演じて主役のケビン・コスナーの
演技を完全に食った。
直後に別の映画の撮影が控えていたため太れずに
身体はボディスーツを着用していたが、顔だけは特殊メイクなど
使わずに本当に太らせたという。
○『ミッドナイト・ラン』では、賞金稼ぎを演じたが、撮影前に
実際の賞金稼ぎの人間とともに捕獲の瞬間、張り込み、捜査方法を
学んだ。
とまあ、ざっと挙げただけでも物凄いエピソードの持ち主だ。
ここからは、デ・ニーロの歴史に残る「作品群」を紹介する。
『ヒート』
伝説の殺し屋を演じるデ・ニーロ
と刑事役のアル・パ・チーノとの
二大スターの夢の共演が実演した。
レオナルド・ディカプリオ演じる恋人の連れ子を
徹底的にイビり続ける、「世界一器が小さい嫌な男」
を演じた。
『ニューヨーク・ニューヨーク』
わがままで短気な天才ジャズサックス奏者を
演じたデ・ニーロ。
振り回され続ける恋人を演じたミュージカル界の
大スター、ライザ・ミネリとの共演も話題を呼んだ。
背筋も凍る冷徹な犯罪者を演じた。
役作りのために鍛え抜かれたデ・ニーロの
肉体にも注目!
弾圧者の暴挙にも抵抗せずに
死にゆく殉教者を演じた。
スター野球選手にしつこく付き纏う
異常なストーカーを演じた。
『レナードの朝』
三十年間眠り続けるという奇病に
罹った実際にいた患者を演じた。
ロビン・ウイリアムズとの夢の共演が
実現した。
やはり、デ・ニーロにはマフィア映画が
似合う。
右端、ジョー・ペシは、『ホーム・アローン』の
お間抜けな役とは打って変わった狂気を漂わせている。
スベりまくる売れない変質的コメディアンを
演じたデ・ニーロの怪演に、吐き気を催し次々と
映画館から出て行く人がいたという裏名作だ。
ミッキーロークとの夢の共演。
怪人役で、主人公を食っていた。
女デ・ニーロと呼ばれ、近年も、『プラダを着た悪魔』で
存在感をみせつけた名女優メリル・ストリープ
とのドリームコンビで、不倫ではあるが、正真正銘の
「純愛」を演じきったデ・ニーロ。
本作品で、ノーマルな役柄でも最高の役者であることを
証明した。
まだまだほんの一部だが、とても書き切れないので
このへんでやめておく。
作品ごとに・・・演じる役ごとに、容姿も雰囲気も
まったく違うことが窺える。
デ・ニーロが一作品ごとに全身全霊で挑んでいる
ことがわかっていただけただろうか?
俺は断言する。
ロバート・デ・ニーロは、死後百年経っても語り継がれる
だろう「伝説の名優」になることを。
またな!