『「新堂冬樹40作品を振り返って」パート2』
『悪の華』の続編だ。
日本人とイタリア人のクォーターのマフィオソ・・・ガルシア・ルチアーノに
宿敵マイケルが新たな刺客を送り込んできた。
その名はジョルジオ。凄腕の射撃術を持つイタリアのマフィオソだ。
哀しき瞳を持つ口のきけない天才マフィオソと、「哀切な冷獣」ガルシアの
対決・・・勝敗の行方は?
最愛の妻を失い「抜け殻」となった日々を送る音楽家のもとに、
一頭のアイリッシュセター・・・マリーが現れる。
マリーと音楽家の過ごした「奇跡の三十日間」を描いた作品だが、
「忘れ雪」とは違った意味で透き通るような「白」作品だ。
七年間セックスレスの絵本作家の夫と童話専門店に
勤める妻の「真実の夫婦愛とは?」を問う作品だ。
病的な潔癖症が故に妻に触れることのできない夫の苦悩。
最愛の夫に触れてもらえない妻の孤独。
そこへ、息を呑むように美しいゲイの青年が現れ、妻は・・・。
新堂小説初の不倫物だが、ほかの白作品に負けない
「純愛物」として俺は捉えている。
知り合いの女性の娘を、我が娘かわいさのために
殺してしまった「音羽お受験殺人事件」をモチーフに
した問題作だ。
お受験地獄で理性を喪失してしまった母親の狂気は
子を持つ親達には他人事ではない。
初の連続ドラマになった記念作だ。
一介のキャバクラのボーイが「夜の帝王」
に成り上がってゆく姿を描いたシリーズ第一作。
シリーズ第二作は「女王蘭」、完結編「帝王星」は
現在「小説non」で連載中だ。
「黒い太陽」「女王蘭」ともにコミックスになっている。
出版業界初のR指定作品の問題作「溝鼠」の
続編だ。
今回は、「復讐代行屋」の鷹場の強力なライバル
として、「別れさせ屋」の大黒が登場する。
中国人画家が本作品のために描いてくれた「死神VS悪魔」は
俺のお気に入りで、原画を自宅の書斎に飾っている。
「無間地獄」の桐生、「炎と氷」の世羅に続く
闇金界の帝王・・・蔵王が登場する。
蔵王は「債権の二重取り」・・・つまり、既に完済した
客からもう一度金を毟り取るという、信じられない
阿漕な男だ。
推薦文が羽賀賢二さんというのが、なんともGOODだ。
俺にしては珍しいアイドルオタクを主人公に
した作品だ。
正月スペシャルドラマで、永井大君とほしのあきさんが
主人公とヒロインを演じた。
前作、「黒い太陽」で非情な成り上がり男を演じた永井君の
百八十度イメチェンしたアイドルオタクの演技は、
俺的に「アカデミー賞」ものである。
「忘れ雪」「ある愛の詩」に続く、角川純恋シリーズの
第三弾だ。
一日、一日、記憶を失ってゆくMCIという病と闘う
臨床心理士アシスタントの青年と、
紅茶専門店に勤める少女のせつなくピュアな恋物語。
帯にもあるが、衝撃のラスト12ページ、あなたは涙なしで
読めるだろうか?
「白」が好きな読者には、お勧めの一作だ。
またな!