『「新堂冬樹40作品を振り返って」パート1』
新堂冬樹誕生の記念作品である。
元講談社ノベルスのS氏により、俺の作家人生の
扉が開かれた。
デビュー二作目で、初の長編に挑んだ。
闇世界のフィクサーにまで上り詰めた加賀と、
純粋な青年から非情な暗殺者へと変貌を
遂げた柴崎の対決。
柴崎がシェパードに●●●れた拷問シーンは
書評家の間に激震を走らせた。
伝説の取り立て屋である黒木と、
シャブ中の速水の物語。
速水のクスリによる脳みその
イカれかたはハンパじゃない。
覚醒剤がなにかと話題になっているいまこそ、
読んでもらいたい小説だ。
新堂冬樹の出世作。
講談社ノベルス以外の出版社で初めて
刊行した作品。
非情なる闇金業者の桐生と女たらしのエステキャッチ
セールスマンの玉城の物語。
「金がないのは、首がないのと同じ」
桐生がなぜ、ここまで金に拘るようになったのか?
幼少の頃、実の父親に●●●されていたというトラウマは
過激過ぎて、読者や書評家の間で論議を醸した。
デビュー四作目にして、
初めて闇金以外の舞台をテーマにした思い入れの深い作品。
400字詰め原稿用紙2500枚の大長編小説。
新興宗教の「カリスマ」神郷宝仙のでたらめ
ぶりと下品でエロい俗物ぶりは呆れて物も言えない。
騙される側の主人公の城山は、「日本一心が狭い男」として、
ある意味神郷よりもインパクトを残した。
主人公は売れない恋愛小説家の袴田。
「鬼」のようなグレた息子にAVを買いに行かされたり、
ひどい仕打ちにあう。
単なる家庭内暴力小説かと思いきや、最後に驚愕の
大どんでん返しが・・・。
史上最凶の問題本。
「受けた恩は三分で忘れ、受けた屈辱は三十年経っても忘れない」
主人公は「復讐代行屋」の鷹場英一。
出てくるのは、変態、サディスト、狂人、守銭奴、悪女・・・。
この小説は、誰ひとりとして感情移入できる登場人物はいない。
はっきり言って、この作品を世に出したことで、俺はいろんな人に
人格を疑われた。
俺が大好きな映画「ゴッドファーザー」の新堂版。
シチリアのマフィア、ガルシアと日本の切れ者ヤクザ、不破の
ガチンコ対決。
「非情VS非道」というキャッチフレーズは気に入っている。
残酷なシーンは多々あるが、「品」を感じさせる壮大な物語に
仕上がっており、俺的にはかなり思い入れのある作品だ。
それまでの8作品、闇社会を描いてきた俺が、初めて
上梓した「純愛小説」に文壇界も書店も読者も
ぶったまげた。
新堂冬樹の記念すべき「白作品」の第一号。
ここから俺の小説は「白作品」「黒作品」に別れる。
小学生の深雪と獣医師を目指す高校生の桜木が
七年後に結婚を約束するが時は流れ・・・。
今年、宝塚で舞台化になり、2010年に映画化が予定されている。
現時点で新堂作品ぶっちぎりのナンバー1の売り上げを誇る。
学生時代から親友だった競馬金融の「炎」・・・世羅と、
風俗金融の「氷」・・・若瀬のせつない対決。
竹内力さんと宇梶剛さんで映画化された。
新堂「白作品」第二弾。
沖縄の海でイルカとともに育った野生児、拓海と
東京で声楽家を目指す音大生の流香の擦れ違いの
純愛物語。
まだ新人だった松田翔太君と黒木メイサちゃんでドラマ化された。
この本の刊行と同時に俺が作詞作曲した曲「青い奇跡」が収録
されたCDも同時発売し、当時、書店で曲が流されていた。
ほかに、1970年代に一世を風靡した不朽の名作・・・映画「ある愛の詩」
のテーマ曲と同じ楽曲を自腹でフルオーケストラを使って再現した。
表紙にも拘り、印刷所まで足を運んで「イメージ通りのピンク」が出る
まで何度もやり直してもらったり・・・
全作品の中でも五本指に入る大好きな作品だ。
1970年代に大阪の三菱銀行北畠支店で実際に
起きた歴史的大事件をモチーフにした作品。
冷血な銀行籠城犯の五十嵐が主役。
ラストには、なぜ五十嵐が非情な男になったかの
感動のエピソードが明かされる。
年末ジャンボ宝クジで三億を当てた
超小市民のサラリーマン河内と
イケメン天才詐欺師の雨宮の三億を巡る
一大喜劇&悲劇。
新堂冬樹初のコメディ作品だ。
現在、映画化が企画されている。
哀しき暗殺者、花城涼が引き金を引こうとした
瞬間、女子高生、リオがターゲットを刺した・・・。
新堂版「レオン」。
幼少時に「シートン動物記」をバイブルとしていた
俺が、ついに念願叶って出した本格動物小説。
「忘れ雪」のように人間が主人公で動物が出てくる、
というものでなく、動物が主人公の物語短編集だ。
短編三作のうちで、「兄弟犬ミカエルとシーザー」には
かなりの思い入れがある。
こういう物語を書きたくて小説家になったと言っても
過言ではない。
小学生も読めるようにほとんどの漢字にフリガナがあり、
いままでとガラリと変わり「客観的な文体」になっている。
初の純文学系の出版社から出した作品。
四作品で成り立つ短編集だ。
「団欒」は、国民的ホームドラマアニメのマ●オさんを主人公にした
ブラックな内容になっている。
幼い頃に別れた母親に会いにひとりで
小豆島まで愛猫ミュウと旅をする少年、大志の成長記。
今年の8月に鈴木京香さん、阿部サダヲさん、武井証君が
出演し、全国ロードショーとなった。
俺も映画館に二度足を運んだが、二度とも涙が止まらなかった。